ホタルノヒカリ2第三話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ホタルノヒカリ2」。第三話。
先日(先週放送の第二話)で雨宮蛍(綾瀬はるか)にイベリコ豚を御馳走した瀬乃和馬(向井理)は、そのとき雨宮蛍から聴かされた同居人「おたかさん」の口煩くも奇妙な人物像について、職場のエレベイターの中で話題にして大いに笑いものにしていたが、それを横で聞いていた当の「おたかさん」の正体に他ならぬ高野誠一(藤木直人)は、当然ながら、複雑な、浮かない表情をしていた。こんな「アホ宮」丸出しな場面から始まった今宵の第三話。
傑作だったのは馬鹿な話を通して真理を探究していたところ。「アホ宮」こと雨宮蛍はゴーヤ嫌いな愛する人のために好物のゴーヤを食うのを我慢し切れるのか?という一見どうでもよさそうな下らない問題を通して、「アホ宮」のアホ丸出しな生活とともに「部長」こと高野誠一の子ども染みてさえいる極度の生真面目さ加減をも楽しく描きながらも、ついには、結婚における我慢とは何か?という殆ど深遠でさえある問題にまで到達し得たのだ。
食べたいものを食べるのを我慢したことなんか一度もない!と断言して憚らなかった雨宮蛍は、突然、どこまでも我慢し続けることを決意した。決意を促したのが、愛する人からの本人に対する直接の説教ではなく、テレヴィの落語番組における人気落語家、菊屋麺蔵(林家木久扇)の、近頃の我慢を知らぬ若い女たちに対する説教でしかなかったのが「アホ宮」のアホさ加減をよく表している。
絶妙なのは、その人気落語家を演じたのが菊屋麺蔵ならぬ木久扇ラーメンの林家木久扇だったことだろう。これが例えば桂歌丸六代目三遊亭円楽だと説教の言にも有無を云わさぬ説得力を醸し出してしまうかもしれないが、林家木久扇であれば「笑点」でのアホさ加減がこのドラマにおける「アホ宮」と見事に共鳴してみせるからだ。