仮面ライダーオーズ第五話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第五話「追いかけっこと巣とセレブ」。
火野映司(渡部秀)とアンク(三浦涼介)の前に、鴻上財団の里中エリカ(有末麻祐子)が動画の受像機を携えて現れ、その映像を通して鴻上光生(宇梶剛士)は彼等に対峙した。近くの生垣の蔭には鴻上財団の隊長、後藤慎太郎(君嶋麻耶)も控え、里中エリカの護衛をつとめていた。
このとき鴻上光生はアンクに対し、仮面ライダーオーズとアンクの戦闘のために各種の便利な武器を提供する代償として、戦闘でアンクの獲得したメダルの七割を譲渡して欲しいと要求した。七割とは法外な要求だが、実際、これまでの仮面ライダーオーズの戦闘は後藤慎太郎からの贈物によって助けられてきたし、今回の話ではアンクも、ウヴァ(山田悠介)から急襲を受けた火野映司を助けるため、鴻上財団の「自動販売機」にメダルを投入して武器を得ざるを得なかった。
鴻上財団からの援助に素直に喜んで感謝している火野映司と、奇妙な「人間」の接近を強く警戒しながらもそれを利用せざるを得なくなっているアンク。そして彼等を掌中にして高笑いの鴻上光生。こうした三者の、云わば対位法的な関係が今朝のドラマの妙味であると云える。
それにしても、火野映司の「メダルを集めて何するんですか?」という問いに鴻上光生が「秘密だ」としか答えなかったとき、火野映司が朗らかに「なるほど!」と反応して納得してしまっていたのをどう考えるべきだろうか。もちろん彼が所謂「天然」の、他人に悪意を見ない性格であることを物語るだろう(そして無論このドラマならではの笑所としても配されたのだろう)が、そのあとには、アンクの不図した視線から欲望の怪物ヤミーの在り処を察知する程に勘のよい怜悧な火野映司が描かれたのだ。
なるほど、このような勘のよさ、頭のよさがなければ流浪の生活を健全に続けることはできないだろうし、人を助けることもできないだろう。今までも、仮面ライダーオーズに変身しての戦闘において彼の勘のよさ、頭のよさは存分に発揮されてきた。ゆえに彼を、生命を守るという根源的な局面においてのみ本来の知性を発揮する人物であると見ることができるかもしれないが、或いは案外、今朝の鴻上光生との対峙に関しても持ち前の勘のよさを働かせた結果、あのような「天然」の善人を演じておくことが己の身を守る最善の道であることを、彼は察していたのではないだろうか。
今朝の見所の一つは、火野映司が鴻上財団提供のバイクで走りながら、同じく鴻上財団提供のバイクで救援に来たアンクから変身用のメダルを受け取り、そのまま変身したところ。バイクで走りながらの変身というのを初めて見た気がする。あの偽物メキシコ風の格好で生身のままウヴァと闘ったり、追いかけられて逃げ回ったりする姿も恰好よい中に面白さもあった。今回の彼は濃い青の服を着ていたが、よく見るとその下には以前の紫の服も着ていた。季節が夏から秋へ移り、寒い日も訪れるようになったからか、重ね着をしているようだ。