Q10(キュート)第四話

日本テレビ系。土曜ドラマQ10(キュート)」。第四話。
宇宙にわずか四%しか存在しない大事なものを、どうにもならないことと、どうでもよいこととの間で引き裂かれてしまわないように、大切に抱き締めなければならない。でも、その大事なものというのも、事情を弁えぬ第三者の目には一見どうでもよいような、小さなことでしかないかもしれない。例えば、影山聡(賀来賢人)にとっては「かわいい」河合恵美子(高畑充希)の手を握り締めて歩くこと。対する河合恵美子にとっては高校卒業後の進路の希望先を影山聡が受験する予定の大学にすること。そしてそこまで想われている影山聡にとっては、勝るとも劣らず想っている河合恵美子に後悔をさせないためにも、自身の今の学力で合格できる程度の大学を志望しておくのではなく、たとえ難しくとも本当に行きたいと思えるような大学を志望すること。
人はなれるものになるのではなく、なりたいものになる…という言葉を、鹿浜橋高等学校教諭の小川訪(田中裕二)は生徒の一人であるヲタク少年の中尾順(細田よしひこ)から突き付けられて、深く受け止め、それをそのまま、山本民子(蓮佛美沙子)にも伝えた。あたかも「永遠」の真理を表した格言であるかのように。でも「誰の言葉?」と訊かれたときには正直に「中尾…」と答えた。些細なこと、小さなことが大きな意味を持つのかもしれないことが、ここにもささやかながら現れていたのかもしれない。
話の最初の、深井平太(佐藤健)に対するQ10前田敦子)の「どこまでも付いてきてくれるのは御天道様だけ」という警告は、宇宙といえども「永遠」ではないという説を経由して、話の最後の、Q10に対する深井平太の「御天道様でさえもどこまでも付いてきてくれるわけではないらしい」という愛の告白へ見事に繋がった。
深井平太は、自身の進路について「どうでもよい」「どうにもならない」と呟いて投げやりになっていたが、それこそがQ10にとっては、落語に出てくる努力しない「若旦那」のような、「御無体なこと」「人の情けのわからない」ことであると判断された。そして悲しみに値することを云われたときには涙を流すことのできる機能に従い、Q10は涙を流して泣き続けた。ロボットとしての、予め設定された機能の一つでしかないにもかかわらず、これ程にも深い愛はないとしか思えなくなる事態だった。
もしQ10が涙を流せばロボットではないと証明されたことになるのか?というのは深井平太と中尾順との遣り取りだが、実際には、涙を流し得ること自体よりもむしろ、「若旦那」深井平太が自身の未来を「どうでもよい」と云い放ったことを「御無体」と判断したところにこそ、ロボットQ10の非ロボット性が証明され得たと云えるかもしれない。ところで、富士野月子(福田麻由子)は予言者でなければ未来人だろうか。
宇宙でさえも「永遠」ではないという説を聞いて深井平太は悲しみ、落ち込み、心を入れ換えた。あの感情には馴染みがある。やがて世界が滅亡するとか遠い将来には宇宙も消滅するとかの話を聞いて涙が止まらず心の晴れなかった吾が小学生時代の数日間のことを想起した。