仮面ライダーオーズ第十八話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第十八話「破壊と理由とウナギムチ」。
今朝は幸い、朝八時の少し前に起床し得て無事これを見たが、生憎、旅行先のホテルにいるので録画したものを見直すわけにはゆかないので、それから約十五時間を経た今、記憶だけで書くしかない。
想起するに、最も味わい深く思い出されるのは、伊達明(岩永洋昭)に話しかけられたときの後藤慎太郎(君嶋麻耶)の、思いのほか気の弱そうな、そして礼儀正しく丁寧な言動のことだ。
後藤慎太郎は、仮面ライダーバースへの変身の資格を得たのがどのような人物であるのかを知りたくて尾行して様子を窺っていたのだが、伊達明は尾行している彼の存在に早くから気付いていて、話しかけてきたのだ。話しかけられた彼は、慌てながらも礼儀正しく丁寧に自身の名と立場と尾行の理由とを正直に明かした。
このとき彼の声が普段よりも気の弱そうに響いていたのは、己の現実が己の理想からますます遠ざかっていることを自覚したからだろうか。彼に対して親愛の情を感じたらしい伊達明から朗らかに、行きつけのオデン店へ一緒に行こう!と誘われた彼は、丁重にそれを辞して走り去ったが、雨の中を走りながら彼は、かつて鴻上光生(宇梶剛士)から「君が今一つ吹っ切れない原因はそのプライドだ。欲望をプライドで抑え込んでいる。非常に詰まらない」と怒鳴られ、それに対して心の中で「だからと云って、プライドを捨てたら終わりだ」と反発したときのことを思い出しては、「こんな未練タラタラな俺の、どこにそんなものが!」と心の中で叫んでいた。仮面ライダーバースへの変身の権利と引き換えに屈従を求めてきたドクター真木清人神尾佑)に対して反発して、その権利を自ら拒絶したあと、「あんな男に媚びを売ってまでバースになる必要はない。…でも、その所為で、闘う手段を失ったんだとしたら…」と後悔していた彼は、今や己が「プライドを捨てたら終わり」どころかプライドも何もない状態に陥っていると感じたのだろう。伊達明が少なくとも現時点では欠点の一点もなさそうな人物と見えることも、敗北感をも抱かせ、彼の惨めな思いをさらに重くしてしまったろう。
そんな彼は多国籍料理店「クスクシエ」に救出されて、そして次週の予告編等を見る限り、どうやら同店で働き始めるらしい。火野映司(渡部秀)や天敵のアンク(三浦涼介)とも一つ屋根の下で生活してゆくことになるのだろうか。予想外の、しかし楽しみな新展開だ。