渡る世間は鬼ばかり第十部第二十話
TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第二十話。
小島家ラーメン店「幸楽」は、取り敢えず今のところは無事。しかし小島邦子(東てる美)と山下久子(沢田雅美)、山下健治(岸田敏志)の邪悪三人組が拵えたインターネット餃子店「幸楽」の借金一千万円に関し、小島勇(角野卓造)が連帯保証人を引き受けたということは、小島家ラーメン店「幸楽」の事実上の後継者と目される彼の長女の田口愛(吉村涼)をはじめ、従業員一同には深刻な危機の始まりとして受け止められた。
もっとも、この連帯保証人の問題が小島家ラーメン店「幸楽」にとってどれだけの危機であるのかは、正確には読めない。インターネット餃子店「幸楽」が破綻した場合は(そして多分、確実にそういうことになるだろうが)その借金を小島勇=小島家ラーメン店「幸楽」が丸ごと肩代わりすることになるが、果たしてそれは小島家にとってどう頑張っても返済しようもない程の金額であるのかどうか。あんなにも大勢の従業員を抱えていても充分に経営が成り立つ程の大繁盛の、不景気知らずの店であるのだから、必要に応じて従業員の給与カット等を一時的に断行する等の努力を払えば一千万円位は比較的短期間で返済できるのではないだろうか。
とはいえ重要なことは、現在の小島家ラーメン店「幸楽」において店の経営状態を正確に把握できる立場にあるのは田口愛だけであり、今回の騒動で最も危機感を抱いているのも田口愛であるという点だ。ゆえに事態は極めて深刻であると見なければならない。
今回の話では、ハワイ在住の夫と離婚して以降、平穏に自由に過ごしてきた岡倉文子(中田喜子)が、夫のもとでハワイで働いている長男の高橋望(冨田真之介)との再会を果たし、次いで、病を得てハワイから密かに帰国していた元夫の高橋亨(三田村邦彦)とも再会を果たすという動きもあったほか、小島眞(えなりかずき)が、職場の上司である長谷部力矢(丹羽貞仁)とその妹の長谷部まひる(西原亜希)の祖母にあたる温泉旅館経営者の長谷部マキ(淡島千景)と対面し、孫の婿殿として大いに見込まれてしまうという展開も見られた。長谷部力矢が鉄道オタクであるかのような描写は、脚本の指示によるものか、それとも演出の自由な戯れであるのか。