ドン★キホーテ第五話

日本テレビ系。土曜ドラマドン★キホーテ」第五話。
今宵のは意外にも鯖島あゆみ(内田有紀)の話。夫の鯖島仁(高橋克実)に対する愛の深さが明らかにされたが、その発端は所謂「育児放棄」の状態に置かれていた嬰児を発見したことにあった。
その子の母、朝倉麻紀(末永遥)は、かつて一時期、鯖島あゆみの営んでいる店で働いていたことがあり、住居を借りる契約の際にも鯖島あゆみを保証人にしていた。ゆえに、朝倉麻紀の留守中の家から子の泣き声から聞こえることに異変を感じた大家が鯖島あゆみに相談するに至り、そこで育児放棄の状態に置かれている子を発見した鯖島あゆみは、夫、鯖島仁…の姿をした城田正孝(松田翔太)の助言に従い、直ちに京浜児童相談所へ通報した。駆け付けた児童福祉司の城田正孝とともに鯖島あゆみは事件の解明と解決のために大いに尽力したのだが、その城田正孝の姿をした人物の正体は実は鯖島仁であることから、夫は妻が胸中に秘めていた余りにも深い愛を偶々知ることになった。
育児放棄の問題に取り組んでゆく中で鯖島あゆみは、信頼できる相談相手の城田正孝との会話の中で、子を生み育てることへの自身の思いを語り、しかるに子を持つことは夫の足手まといになる恐れがあることから子を産み育てること自体を自身の判断で断念したことを明かした上で、それでも夫と一緒に生きてゆけるだけでも幸福だと感じていることを述べた。このことについては夫には内緒にして欲しいとも付け加えたのだが、当の相手は、城田正孝の姿をしてはいてもその正体は鯖島仁その人であるのだ。
鯖島仁は、妻の愛の深さと思慮の深さに感動しつつ、己の「渡世人」という生き方が妻の希望の一つ、母親になるという幸福を奪ってしまっていたことを思い知らされて、かなり落ち込んでいた。彼の今後の人生を変えることにもなり得る程の、静かな大事件だったと云ってよい。
事件と人物像と心情とが見事に必然的に絡み合うような形で描かれて、見応えのある一話になっていた。