仮面ライダーオーズ第四十七話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第四十七話「赤いヒビと満足と映司の器」。
火野映司(渡部秀)は元来、大きな力を持ちたいと願望していた。己の手で世界を救うことができるための、通常の人間が持ち得ない規模の、強大な力。それは化け物の力でしかないが、アンク(三浦涼介)と出会ったとき以来、彼は既にそれを獲得できていた。ところが、「世界の終末」を願望するドクター真木清人神尾佑)がグリード間の抗争へ介入して彼等の強化と暴走を企てるに至って、火野映司はアンクから得た力だけでは存分には戦えなくなってきたし、力を略奪されて弱体化を余儀なくされてきてもいた。
火野映司=仮面ライダーオーズは、グリード八体中のロスト=アンク(飛田光里/声=入野自由)、カザリ(橋本汰斗)、メズール(未来穂香)、ガメル(松本博之)の四体が消えた今、いよいよ最強の敵と見るべきドクター真木清人と対決しなければならなくなりつつあるが、そのためには力が足りていないことを自覚した。こうして彼は己の本来の巨大な「欲望」を完全に取り戻した。
巨大な欲望に突き動かされて、人間の限界を超えた強大な力を求め、生命体としての人間であることを止めて、メダルの化け物としてのグリードと化して、暴走の危険を冒しつつある火野映司と、単なるメダルの化け物でありながら余りにも人間に近付き過ぎてしまっていて、しかもそのことに満足してもいるアンク。両名の間の対決と情を描きながら物語は結末へ向かおうとしている。次週の最終回を目前にして、両名の間の奇妙な関係が物語の意味を明らかにする主題に他ならないことが改めて確認された。
この意義深い第四十七話を盛り上げたのは、今まで細々と生き残ってきたウヴァ(山田悠介)が、ようやく九枚目のコアメダルを獲得して完全体を復活させ、これまで発揮できなかった本来の力を、強さを、存分に発揮し始めたところだろう。
なにしろ火野映司=仮面ライダーオーズが、これまで三体ものグリードを抹殺してきたのと同じように、紫のグリードの力によってウヴァをも抹殺しようとしたのに反して、ウヴァはその力がウヴァの完全体の前には無力であることを見せ付けたのだ。無論、後藤慎太郎(君嶋麻耶)と伊達明(岩永洋昭)の仮面ライダーバース隊が力を合わせても今のウヴァには敵わない。ウヴァは彼等の弱さを「虫ケラ」と形容して嘲笑った。昆虫のグリードであり、云わば昆虫の王者でさえあるウヴァならではの形容であると云わざるを得ない。
この完全体ウヴァの強大な力こそが、火野映司を暴走させ始めた直接の契機であることも見落とせない。