仮面ライダーフォーゼ第四話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第四話「変・幻・暗・躍」。
仮面ライダーを主人公にした学園ドラマを作ることがこんなにも上手く行くとは思わなかったが、思えば、仮面ライダーというのは物語の枠組として、器としては今や最強で、現代劇としては普通には成り立たないような話をも強引に成り立たせてしまえる強さがあるのかもしれない。探偵物語としての「仮面ライダーW」がそうだった。「仮面ライダーW」は後半以降は面白くなくなったので「仮面ライダーフォーゼ」には今の面白さを維持して欲しい。
今朝の第四話で最も熱気に満ちていた場面といえば無論、如月弦太朗(福士蒼汰)と風城美羽(坂田梨香子)が握手を交わした場面だったろう。天ノ川学園で年に一度行われている美人コンテスト「クイーンフェス」で、三連覇を目指していた風城美羽は、カメレオンの化け物によって妨害されて一時は戦線を離脱しかけながらも、敵対していたはずの如月弦太朗からの熱い応援を受けて立ち直り、決勝戦の場に姿を表した。学園のクイーンに相応しい女になるべく常に努力を怠らなかったことから来る実力と自信を誇示して学園の全生徒と全教師を圧倒して、そして舞台へ上がる前に、如月弦太朗と握手を交わしたのだ。
第一話以降、如月弦太朗は学園のクイーンと呼ばれる風城美雨から「トラッシュ」(ゴミ)と呼ばれていたが、今や「ナイト」(女王を守る騎士)にまで昇格したのだ。痛快な展開だが、これが痛快であるのは、学園内の全生徒がどういうわけか幾つかの身分に勝手に分類され、階層をなす秩序の中に位置付けられていることを前提にしている。この奇妙な学園を奇妙にしている点こそがこの痛快な逆転劇を成立させたと云える。
とはいえ、学園の「キング」と呼ばれて全生徒の上に君臨し、風城美雨を恋人にしていた大文字隼(冨森ジャスティン)が、「クイーンフェス」における恋人の苦戦を見るや直ぐに見捨てたかと思えば、その後の挽回を見ては再び態度を変える情けなさを発揮し、キングの器ではないところを露呈していたのとは対照的に、学園のトラッシュ(ゴミ)という最下層の身分に位置付けられていた如月弦太朗がその身分に反して真のキングの器であるところを垣間見せて、一躍ナイトに叙せられた逆転劇は、ラ・チェネレントラ(シンデレラ)のような御伽噺の世界観に基づいていて、子どもにとっても大人にとっても、面白くないはずがない。