テストの花道における仲田拡輝の夏論

先週の土曜日、十月一日の朝のNHK教育テストの花道」(再放送)では、大学入学試験における小論文に対応するための特訓として、漠然とした思いを整理して明確化して表現するための演習が行われた。
勉強部員として活動するヒロキこと仲田拡輝の「主張」は「夏が好き」。「理由」は「夏休みがあるから。」で、この「理由」を構成する「根拠」は(1)「祭りや花火などのイベントが盛りだくさん。」である上に(2)「久しぶりに昔の友達に逢えたりする。」ということにある。しかるに「逆説」として、冬にも「忘年会という一大イベントがあり、語り合えたりする。」という魅力もあるが、やはり「偶然会えるかもしれないという楽しさがある。」のは夏休みのイベントならではであるという「結論」に基づいて、「夏が好き」であるとの「主張」で結ばれた。
この、祭や花火のようなイベントで昔の友達に遭遇する楽しみが夏にはあるという彼の論に関して、昭和四十五年生の城島茂は「中学のときは他の学校とケンカになる」と思い出を語ったが、平成六年生の仲田拡輝は「それは昭和ですけど」と述べた。しかし現実には多分、昭和の少年の大半にとっても、他の中学校の連中と遭遇するや直ぐにケンカになるというのは殆ど経験のない事象、遠い世界の話ではないかと思われる。