妖怪人間ベム第三話
日本テレビ。土曜ドラマ「妖怪人間ベム」。第三話。
今宵のは抒情編。しかし扱われた問題は重かった。人間における老いと死の問題が扱われたからだが、しかもこれが、妖怪人間が老いることも死ぬこともできないこととの対比において光った。
何十年を経ても姿の変わることのないベム(亀梨和也)とベラ(杏)とベロ(鈴木福)と、数十年前に自殺しようとしていたところを彼等三人に救われたことがあって、そして老いて再び自殺しようとしていた和久井忠雄(平田満)との交流に味わいがあったが、もう一つ忘れ難いのは、老人の財産ばかりを狙う引ったくり犯(細田よしひこ)による犯行の被害者の一人である老女が、この犯人のバイクの機種を正確に説明できたところだ。
負傷して病院に運ばれた老女を訪ねた警察の夏目章規(北村一輝)等に対し、この老女は犯人のバイクの機種を瞬時に、しかも正確に、詳細に説明できた。老女は昔、まだ若かった頃に愛して交際していた男子がバイクを愛好していたことから、自身もバイクに夢中になり、今なおバイクには通じていたのだ。生きる甲斐があるということの意味が、遠い思い出を大切にすることと絡んで鮮明に表された。