家政婦のミタ第八話

水曜ドラマ「家政婦のミタ」。第八話。
家政婦の三田灯(松嶋菜々子)が阿須田家の人々に乞われた末に、ついに自身の過去について告白した。もちろん何時ものように、まるでロボットのような、抑揚の乏しい口調で、淡々と冷徹に。しかし無表情だったわけではなく、むしろそれどころか泣き出しそうになるのを必死に堪えているのが誰の眼にも明らかな、激情を抑え込んだ様子で。
実際、語られた内容は壮絶な、悲しみと悔しさと喪失感に支配されて強烈な決意を生じないではなかった半生だった。それが、一切の再現性を排して、抑制された口調で淡々と冷徹に、丁寧に、しかも理路整然とした語のみで説かれたからこそ却って話の凄みがドラマティクに際立った。
無愛想でありながら情念に満ちた告白に、涙を流して聞き入っていた阿須田家の長男、阿須田翔(中川大志)が美しかった。