仮面ライダーフォーゼ第三十二話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第三十二話「超・宇・宙・剣」。
主人公を簡単に死なせたり蘇らせたりするとは余りにも安直!…と先ずは文句を云わざるを得ないが、それでも、復活を遂げた如月弦太朗(福士蒼汰)が突然現れて、彼に代わって皆を助けようとして闘って傷だらけになって倒れようとしていた朔田流星(吉沢亮)を抱き留めて抱き上げて守った場面には、流石に晴れやかな気分にならずにはいなかった。英雄と正義の物語には、やはり奇跡も歓喜も必要だ。
タチバナ(声:檜山修之)の助言を得て如月弦太朗を復活させることに成功した歌星賢吾(高橋龍輝)が、新たな宇宙の力を得てコズミックステイツに到達したフォーゼ=如月弦太朗の新たな強さを「そんな攻撃では傷一つ付かん!」と語ったときの、いかにも誇らしげで自信満々な様子も実に面白かった。
牡羊座ゾディアーツ=山田竜守(川原一馬)が昴星高等学校において敷いていた愚劣な圧政に真先に反旗を翻したのがJK=ジェイク(土屋シオン)だったのは、意外なようでいて意外に納得ゆく展開でもある。なぜなら特別な力を持つわけでもない彼のような者こそが「草莽崛起」を担うのだからだ。この辺の役割の配し方は上手い。
他方、戦闘が始まれば最前線に立つのは大文字隼(冨森ジャスティン)のような肉体派の戦士でなければならない。しかし彼を助け得る者は彼の愛する風城美羽(坂田梨香子)の外にはいない。仮面ライダー部の顧問に就任した天ノ川学園高等学校教諭の大杉忠太(田中卓志)が如月弦太朗の死を悲しんでいたのも一寸よかった。
復活を遂げた如月弦太朗=フォーゼの強さを見つめていた朔田流星の脇には、野座間友子(志保)がその腕にしがみ付いて身を寄せるようにしていた。
朔田流星が如月弦太朗を殺害したことに対する野座間友子の怒り、悲しみ。復活した如月弦太朗が朔田流星の罪を許し、許したばかりか心から友として認めたのを受けて皆も一緒に朔田流星を許し受け容れた中の、野座間友子の許し、喜び。このドラマにおける野座間友子の存在感は何時もながら静かに大きい。