仮面ライダーフォーゼ第四十話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第四十話「理・念・情・念」。
メテオ=朔田流星(吉沢亮)と、天ノ川学園高等学校生徒会の副会長で会長代行でもある牡牛座ゾディアーツ=杉浦雄太(絲木建太)が、まるで活火山の噴火口の近辺のような恐ろしげな荒野を会場に、ゴルフで対決。ここにおけるメテオの戦い方は藤子不二雄の「プロゴルファー猿」そのもの。
如月弦太朗(福士蒼汰)は、校内の構造改革を断行してきた杉浦雄太の「正義」が現実には正義に敵っているとは思えないことの理由を、その動機がどこまでも私的な感情の問題にしかないことに見出し得た。ゆえにその解決策もその動機をなした人間関係の解決にあると見破った。改革政治の本質をよく表している。
ところで、今回の話の眼目はどうやらメテオのゴルフにもなければフォーゼの戦闘にもなく、むしろヴァルゴ(声:田中理恵)の正体の顕現にあったらしい。
ヴァルゴの正体は江本州輝(山崎一)に他ならなかった。宇宙科学者で、宇宙京都大学教授で、天ノ川学園高等学校の特別講師でもある。歌星賢吾(高橋龍輝)の父である今は亡き歌星緑郎(風間トオル)の友だった人で、今も我望光明(鶴見辰吾)の友である人。この真相は前回の話で既に示唆されていたから意外ではない。
意外だったのは、正体を見てしまった野座間友子(志保)が「ダークネビュラ」へ送られてしまったこと。
ヴァルゴの言では、そこは「永遠の牢獄」。これまでに何体かのゾディアーツがそこへ送られ、天ノ川学園を捜査の対象にしようとした警察官も一人そこへ送られた。しかしテレヴィ視聴者の健全な常識で云えば、野座間友子のような主要な登場人物がそこへ送られる展開があり得た以上、そこから脱出する展開も今後あり得るに相違ないと予想され得る。
ヴァルゴの正体の判明に関連しては、二、三の事実が提起された。(一)ヴァルゴ=江本州輝はダークネビュラを「成長」させてきた。それがどのような成長であるのかは明らかではない。(二)今までヴァルゴが敗戦の幹部ゾディアーツ複数名をダークネビュラへ送ってきたのは、彼等を抹殺するためであるよりは、むしろ彼等から「ゾディアーツスイッチ」を回収するためだった。素材としてのゾディアーツスイッチではなく、幹部ゾディアーツの活動と戦闘を通して成長し切ったゾディアーツスイッチであることに意味があるのだろうか。(三)月面で歌星緑郎を殺害した真犯人は、我望光明ではなく、江本州輝自身だった。これは最も重い事実だろう。