仮面ライダーフォーゼ第四十三話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第四十三話「双・子・明・暗」。
ついに双子座ゾディアーツが出現。変身するのは、あろうことか、城島ユウキ(清水富美加)。フォーゼ=如月弦太朗(福士蒼汰)は幼馴染の城島ユウキを相手に戦わざるを得なくなったのだ。戦闘に先立って、先ずは城島ユウキが天ノ川学園内で数多くの悪事を働いて皆の反感を買う事態があったが、最初の悪事を目撃したのも如月弦太朗であり、ゆえに、城島ユウキの罪を疑った最初の人も如月弦太朗になってしまったことから、ただでさえ彼は、この幼馴染の女子に対してどのように接したらよいのかで悩んでいたところでもあった。
如月弦太朗にとって実に戦いにくい状況であり、双子座ゾディアーツの正体が城島ユウキであることを知らなかったメテオ=朔田流星(吉沢亮)がフォーゼの加勢に入ったときも、フォーゼ=如月弦太朗はメテオの攻撃を制してゾディアーツを庇わずにはいられなかった。だが、そのことは、如月弦太朗を守るのは俺だ!と心に誓って行動している朔田流星の心を傷付けずにはいなかった。その傷の深さは、女心には特に鈍感な如月弦太朗に己の恋心を気付いてもらえなかった風城美羽(坂田梨香子)の傷の深さに比肩し得るらしい。
それでもなお健気なメテオ=朔田流星は、今朝の話の最後、如月弦太朗の身を守るために身を挺してゾディアーツの分身の自爆テロリズムを全身で受け止めた。如月弦太朗は守られたが、朔田流星はどうなったのか。次週の話で確認するを要する。
それにしても、双子座ゾディアーツの存在の仕方は恐ろしい。
ゾディアーツに変身を始めた瞬間、その正体の人格は二つに分裂する。光と闇の二人へ。分裂から間もない段階では光こそが本体であって闇はその影でしかないが、本来は光によって抑圧されていて表面に出ることを許されないでいる暗い欲望の塊としての闇は、人格化するや、暗い欲望を最大限に開放して次々悪事を働き始め、悪事を積み重ねる毎に存在の濃さを強くして実体化し、やがては本物、本体となって、本体であるはずの光の人格を弱体化させ、ついには消去するらしい。
現に、本物であるはずの光の城島ユウキは今や、偽物だったはずの闇の城島ユウキの悪事の所為で人前に出ることもできなくなり、ついには顔までも失った。
これは、まるで現代の日本人の姿ではないのか。偽物の日本人が跋扈して悪事を働き、恫喝して権益を捏造し、あろうことか政権をも奪い取って社会を構造から改悪しつつある中で、本物の日本人は居場所も顔も見失いつつある。