パーフェクト・ブルー第九話

宮部みゆきミステリー「パーフェクト・ブルー」。第九話。
蓮見加代子(瀧本美織)等が毎晩のように通っているBAR「ラ・シーナ」の若い店員、諸岡進也(中川大志)の兄は、鶴和高等学校の野球部で投手として活躍している諸岡克彦(野村周平)。
甲子園球場における全国大会への出場をも期待されている兄を、両親は溺愛している。そして優等な兄のような活躍を見せる様子もない劣等な弟を軽蔑している。ゆえに弟は両親を嫌っているが、兄を敬愛しているし、兄も弟を信頼している。
そうした中で、克彦に対して出場の辞退を迫る脅迫状が届いた。
心配した母の諸岡久子(菊池麻衣子)は、進也の世話をしているラ・シーナ店主の椎名悠介(寺脇康文)の紹介で蓮見探偵事務所を訪ねて事件の調査と解決を依頼し、蓮見加代子が引き受けたが、他方、脅迫された克彦自身は唯一信頼できる人である弟の進也に事件の調査と解決を依頼した。
というわけで今回は進也(中川大志)の出番が多く活躍も目覚ましかったが、同時に、彼の境遇、彼をめぐる家庭の事情も明らかになって、極めて重要な話だった。
しかも進也の兄の克彦が小学生だった時期に属していた少年野球団が、実は「パーフェクト・ブルー」事件にも深く絡んでいたらしい。克彦のライヴァルと目されていた野球仲間の幼い病死に不明の点があって蓮見加代子の亡き父(船越英一郎)が調査していたのだ。そして第一話の冒頭にあった進也の悲鳴はどうやら今回の事件の延長上にあるらしい。
こうして見ると、実は進也は物語の核を占める重要人物だったようだ。彼に幸福な日常が訪れるのかどうかは、事件の真相と解決を明かすはずの次週の最終回、第十話において描かれるのだろうか。