仮面ライダーウィザード第十五話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第十五話「ラストシーンの後は」。
操真晴人(白石隼也)は事実を明かさなかった。女優を志望する真中千鶴(鉢嶺杏奈)こそがゲートであり、ゲートかと見られていた石井悟史(植田圭輔)こそがファントムである事実を、操真晴人は真中千鶴には語らなかった。
真中千鶴が女優を志望して今まで頑張ってきたのは、学生時代、大学の映画研究会で女優をつとめた際、映画監督を志望する学生として映画研究会で映画監督をつとめていた石井悟史から演技を褒められたからだった。真中千鶴の心の支えは、石井悟史から褒められたことであり、石井悟史という人物その人に他ならなかった。
そうであれば、石井悟史が実はファントムであること、換言すれば石井悟史が既にこの世にいないことを明らかにすることは、真中千鶴を絶望させかねない恐れがある以上、操真晴人には採り得ない選択肢だった。
操真晴人のこの選択と決断を理解することはできるが、納得することは必ずしも容易ではないかに思われた。なぜなら石井悟史が既に亡くなっている事実を隠したとしても、石井悟史は決して帰ってくることがないからだ。いつか戻ってくるかもしれないと思わせておきながら実際には二度と戻ってくることはないという事実こそ冷酷ではないのだろうか。
この容易には納得できないかもしれない操真晴人の決断を、辛うじて納得できるものに化したのは、真中千鶴に嘘を云って希望を失わせないようにして別れたあとに操真晴人が呟いた本心の持つ真実味にあった。「いつかは、ちゃんと伝えなきゃいけないと思う。でも今は…」。なるほど、時間が経てば新たな希望を見出して、古い不安や苦悩を解消するに相違ない。石井悟史への強烈な愛を解消することができたとき、真実を難なく受け止めることもできるだろう。
真中千鶴の希望を守るため、操真晴人は、嘘を云って、事実を隠蔽し続けることの苦痛を自ら引き受けることを選んだ。
気になるのは、操真晴人のこの選択を、白い魔法使い(声:高階俊嗣)が面白がっていたことだ。この決断は操真晴人に何か重大な影響を生じるのだろうか。これは操真晴人を援けるのか、挫くのか。白い魔法使いは何を狙っているのか。
…と書いたところで、確認してみたところ、前回の話に出た白い奴と今回の話に出た白い奴では姿形が違っている。前回のは白い魔法使いで、今回のはファントム陣営の首領であるワイズマン(古川登志夫)か。