仮面ライダーウィザード第二十一話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第二十一話「ドラゴンたちの乱舞」。
操真晴人(白石隼也)は白い魔法使い(声:高階俊嗣)の儀式を受けて、ウィザードの四つの姿を同時に出現させる力を得た。一つの力を四つの姿に分身したのではなく、四つの姿に現し得る一つの力を同時に四つに現したと解される。換言すれば、持てる力を四倍に増大させたと解される。
敵の指揮者ファントム(IZAM)は相手の攻撃をそのまま相手に向けて返す能力を有していて、ゆえにウィザードの攻撃はウィザード自身を攻撃し、ビースト=仁藤攻介(永瀬匡)の攻撃はビースト自身を攻撃して、指揮者ファントム「ベルゼバブ」は無傷だった。何をどう攻撃してもそれが敵に到達しないのであれば勝ち目はあり得ない。しかるに白い魔法使いによって強化された操真晴人はウィザードを四つに増やして闘い、指揮者ファントムは今までのような能力を存分には発揮できないまま退治された。
攻撃をそのまま返してしまえるのであれば、相手が何人に増えても大して影響はないのではないかとも思えるが、一度にその魔力を使用できる範囲や個数にも限度があるのかもしれないし、攻撃を返す能力を駆使するには多大の魔力を消費するのかもしれない。操真晴人の新たな力が単に一つの力の四つへの分身であれば一つ一つの力は四分の一に弱体化しているから、指揮者ファントムは余裕で撥ね退け得たのかもしれないが、ウィザードの魔力が四倍にも増大化したのであれば、保有する魔力の量において既に完全に負けている。
他方、フェニックス=ユウゴ(篤海)は改心した。改心させたのは操真晴人の友、警視庁鳥居坂警察署の大門凜子(高山侑子)。ユウゴは、自宅のある団地の前の海を眺めながら大門凛子の話を聴き、大門凛子が携えてきたドーナツを食べながら考えた。考えた末に、ワイズマン(古川登志夫)やメドゥーサ(中山絵梨奈)の言いなりになって気の進まない仕事に従事するよりも、自身の思うままに、存分に働いてやろう!と決意した。
上司の指示に従ってファントム事件には近付かないでいるよりも、たとえ上司の命に反してでも自身の思いに従ってファントム事件を探り、操真晴人を援けたい!と決意して、そのように行動しているという大門凛子の話に共感したわけだが、その結果、ユウゴは上司に従ってゲートを絶望させる地味な仕事に従事するよりも、上司なんか無視して思う存分に暴れ回ってやろう!と決意したのだ。云われた通りに悪事を働くのではなく、自身の思う存分に悪事を働くという改心。非道い改心だ。
とはいえ海辺で語らい合っていたユウゴと大門凛子の姿は恋人同士のようにさえ見えて良い感じだった。それに先立って、ユウゴの自宅に大門凛子が潜入してユウゴに追い詰められていた場面でも、大門凛子の勇敢な言動を面白がったユウゴが大門凛子に、ゲート救済のための助言を与えた上で解放してやるにあたり、大門凛子が床に落としていたバッグを拾い上げ、周囲に散乱したその中身を戻していたばかりか、戻すとき一々ゴミを払い除けてキレイにしてからバッグの中に戻していた。この心優しさはユウゴが人間だった時代の名残であるに相違ない。