仮面ライダーウィザード第三十四話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第三十四話「人気モデルの裏側」。
元ホスト風の写真家ファントム小須田明人(城咲仁)が「意味が解らん!」と云って戦意を喪失したのは実に尤もな反応だった。彼が人気モデルの清水千秋(新木優子)を用意周到に襲撃したのはソラ(前山剛久)の意を受けたメデューサ中山絵梨奈)の命令に従ったからであるのに、肝心のときにソラから突然「この子に手を出すな!」と邪魔されてしまっては、一体どう行動してよいのかも判らなくなるからだ。
ソラは清水千秋に「君は誰にもやらせないよ」と語り掛けたが、これを単に「君を守る」という意味に解してよいかどうか。いつものように戦闘の様子を観戦していたソラが、急に態度を変えて清水千秋の救出に向かったのは、清水千秋の長い黒髪を見たからであるように見えた。東京都警視庁の大門凜子(高山侑子)が操真晴人(白石隼也)とともに調査して判明したように、ソラの前身となったゲートは滝川空という美容師で、陽気な言動の人だが、働く店を移る際には顧客をも連れ去ってしまうのではないかとの疑惑を持たれてもいた。この疑惑は、彼が美しい黒髪の人に対して異様な執着心と独占欲の持主であることを推理させるに足る。
もう一つ恐れなければならないことがある。ソラは他のファントムとは異なり、人間の心を保ったままファントムの身体を持たされているのである以上、グレムリンと化してから犯した悪事に近いことを、人間だったときにも既に犯していたのではないのか?と疑わずにはいられないことだろう。
ソラから「似たもの同士」と云われて操真晴人はソラに親近感を抱き、ゆえに元ホスト小須田明人に倒されたソラの救出にまで向かった。しかるに果たしてどこまで「似たもの同士」と云えるのかについては、次週の展開を待たなければならない。
仁藤攻介(永瀬匡)は清水千秋の美貌に夢中だったが、清水千秋の性格の悪さを知るや強い反感を抱くに至っていた。今までは誰に対しても甘く寛容だったのに。新たな側面が出たと云うべきだろうか。
警視庁国家安全局〇課の木崎警視(川野直輝)が久し振りに登場してソラについての新事実を提供したとき、操真晴人は妙に微妙な反発を見せて、大門凛子はそこに操真晴人なりの嬉しさの表れを見出していたようだが、この所謂ツンデレ気味の描写は必要だったのかどうか。