新番組/スターマン第一話

今宵からの新番組。
ドラマ「スターマン -この星の恋」。第一話。
今宵のこの第一話における最大の見所は、番組開始から五十五分程が経過した時点に、突然やってきた。
富士山の麓の小さな町の、小学生男子の草野球の試合の只中のこと。剛腕の投手の宇野大(大西流星)の投げた速球は、敵軍の打者によって打ち返され、見当違いな方角へ向けて凄まじい速度で飛んだが、その方角の先では、何ということだろうか!幼稚園児の宇野俊(五十嵐陽向)が遊んでいた。宇野佐和子(広末涼子)も、長男の宇野大も、次男の宇野秀(黒田博之)も、最悪の事態が避け難くなろうとしている中で、どうすることもできないでいたが、その瞬間、宇野家に迎え入れられていた「記憶喪失」の謎の美男子、星男(福士蒼汰)が勢いよく跳び上がり、宙に舞い、回転しながら幼い宇野瞬を庇うようにその前に着地して、片手で剛速球を受け止めた。
奇跡と云うほかない。安藤くん(山田裕貴)は感動を率直に表現し、ようやく事態を理解した宇野瞬は「かっこいい」と感嘆したあと、嬉しくなって、改めて星男を「パパ」と呼び、その場に居合わせた町の人々皆が一斉に歓声を上げ、盛大に拍手して、謎の美青年の勇姿を賞賛した。
あまりにも格好良い場面で、思わず何度も見返してしまった。このような颯爽とした表現は、いかにも堤幸彦演出の本領発揮と云うべきなのだろう。
この他にも愛らしい場面が多かった。宇野佐和子が母である前に女であろうとして、さらには乙女であろうとして、謎の美青年を「星男」と名付けて宇野家の新たな「パパ」として迎え入れた夜、敢えて一人で寝かせておいたはずの星男の布団には何時の間にか三男の宇野瞬が潜り込んでいて、翌朝、二人は並んで寝ていた。
こうして三男の宇野瞬が早くも新たな「パパ」に懐いてしまった中、長男の宇野大は直ぐには受け容れることができなかったが、次男の宇野秀は、内心では既に星男に心惹かれ始めている様子だった。それで長男が「俺は認めないぞ」と主張したのに対して次男が「でもさ、かっこいいよ」と発言したとき、長男は「男は顔じゃないんだぞ」と制した。ところが、そのように言い張った長男は実に美男子の顔をしていた。
冒頭、富士山の麓の湖上、舟に横たわって薬(睡眠薬?)を飲んで自殺を図ったと思しい謎の美青年、のちの星男の身体を目掛けて強烈に光り輝く巨大な流星が降下した場面は、「仮面ライダーフォーゼ」のように「宇宙キター!」とでも形容したくなる映像だった。