スターマン第二話

ドラマ「スターマン -この星の恋」。第二話。
最初と最後に大きな見所が来た。
富士山の麓の小さな町の、祖母と母と三兄弟の三世代が同居する宇野家に迎え入れられた「記憶喪失」の謎の美男子、星男(福士蒼汰)が、朝、幼稚園へ出るべく既に家を出た三男の宇野俊(五十嵐陽向)に忘れ物を届けるため、その母である宇野佐和子(広末涼子)の運転する自家用車を追いかけ、凄まじい速度で駆け、瞬時に追い付いたのが、最初の方の見所。
興味深かったのは、無事に忘れ物を届けて佐和子に感謝され、瞬に感激されたあと、家へ帰る星男が普通にしか歩けなかったこと。凄まじい速度で跳んだり駆けたりする能力は、自由自在に使えるわけではなく、何か特別な事情の認識に発動される必然性を要するらしい。往路と同じように復路も一気に駆けようとして何度も試みても上手くゆかなかった姿は悲しげだった。
最後の方の見所は、今までの能力とは少し異なった。朝、目を覚ました星男は、横に寝ている瞬を見て笑んだあと、カーテンを開けて庭を見るや、傷付いて倒れている小さな鳥を見出した。彼は両手で鳥を抱き上げて、眼を閉じて念じた。やがて鳥の怪我は癒えて完治して、星男は立ち上がり、両手を上げて鳥を空へ放ち、鳥は羽ばたいて飛び去った。
その様子を偶然にも見かけた次男の宇野秀(黒田博之)は、星男の不可思議な能力に驚嘆したのと同時に、多分、星男の優しさに感銘を受けたのだろう。そのあとの朝食の間も、彼は皆から不審に思われる程に嬉しそうな顔をして、星男の手と顔を見詰め、自身の両手を見詰めていた。
長男の宇野大(大西流星)にも、このような出来事があるのだろうか。
小さな見所としては、星男がハンバーグを食べた様子の美しさがあった。楽しそうに食べる姿が美しいのは、見ているだけで楽しくなる。
佐和子とその母の柏原美代(吉行和子)が、星男の失った記憶を埋め合わせるべく、次から次へ嘘の思い出を語り、架空の過去を積み重ねてゆく場面は、何の記憶もないだけに疑うはずもなく、全部を真に受けてしまう星男の姿が健気であるだけに、見ていて辛くなる。嘘で塗り固めた人生が成り立つはずがない…と思っていたら早速、星男の過去を知るらしい羽生ミチル(木南晴夏)が出現した。星男の美しい人物像と、始まったばかりの幸福の日常が早くも崩されるようで、それはそれで悲しい。
重田信三(國村隼)は先週の第一話でも既に星男の真実に関する何かを知っている様子だったが、今回、大家族の揃った朝食の席における「古女房」(角替和枝)の言から、重田信三も星男と似たような境遇にある人物、いわば古い星男だったのではないのか?と疑われてきた。臼井祥子(有村架純)と一緒に泊まろうとした(しかし泊まることを拒否されてしまった)郊外のホテルで、安藤くん(山田裕貴)が浴室から出てきたときの、身体へのバスタオルの巻き方も不可解で面白かった。彼の恋心は報われないのだろうか。