ぴんとこな第三話

木曜ドラマ9ぴんとこな」。第三話。
歌舞伎の名門の御曹司である河村恭之助(玉森裕太)が、普通の家に生まれ育ちながらも執念と努力によって台頭してきた澤山一弥(中山優馬)をライヴァルと見ながらも同時に、このライヴァルに対する千葉あやめ(川島海荷)の想いをも大切にしてしまうが、そうして大切にすれば大切にする程に、千葉あやめはむしろ河村恭之助に心惹かれ始めてしまっている…という矛盾に面白さがある。
しかも河村恭之助のこのような精神の大度量の充実は芸の才能をも開花させようとしているらしい。澤山一弥までもが、舞台上で共演している只中の河村恭之助の芸に圧倒され、魅了されてしまったからだ。
澤山一弥は、千葉あやめとの幼時からの両想いを大切に貫いてゆこうとしている反面、師の「轟屋」澤山咲五郎(榎木孝明)の娘の澤山優奈(吉倉あおい)に迫られるまま関係を結び、今や事実上の婿養子のようにさえも扱われている。歌舞伎界における彼の出世は彼の執念と努力のみによるのではなく、澤山咲五郎の力によるところ多大であるように見受ける。そう考えると、千葉あやめとの恋を澤山優奈に妨害されたのも自業自得でしかなく、同情の余地はないと云わざるを得ないはずだが、なぜか澤山一弥は気の毒に見えてしまう。
杏星学園高等学校における河村恭之助の友人で、「恭ちゃん」を最も愛し理解しているとさえ自負している坂本春彦(ルイス・ジェシー改めジェシー)は、今回も歌舞伎「棒しばり」の公演の際、河村家の家政婦のミタである三田シズ(江波杏子)と一緒に鑑賞し、わからないことを一々解説してもらい、楽しそうだった。