新番組=仮面ライダー鎧武(ガイム)第一話

今朝からの新番組。
平成「仮面ライダー」第十五作「仮面ライダー鎧武」。
第一話「変身!空からオレンジ?!」。
主人公の葛葉紘汰(佐野岳)が親友からの携帯電話メールで存在を知らされていた変身ベルト「戦極ドライバー」を拾い、蜜柑のロックシードを手にしたところで怪物に襲われたとき、観察力と勘の良さに導かれつつも手探りで変身し、戦いの現場で己の獲得した能力に気付き、武器の使い方を発見していった様子は面白かった。巨大な工場の階段を舞台にした戦闘の光景にも迫力があった。
しかるに、それにしても画面に漲る気配は恐ろしげだった。普通の街の中に一軒だけ巨大な高層建築が聳える景観も不気味だが、街中の人々が一つの放送を視聴して、一つのゲーム「インベスゲーム」に夢中になっているのも不穏だろう。スポーツ中継は皆で観戦するのが自然だが、あのようなゲームにそんな要素はないだろう。実際、葛葉紘汰もインベスゲームの大流行に全く付いて行けていない。
葛葉紘汰の注目に値する点は、仲間たちと遊びに明け暮れる生活から既に卒業し、「大人」に「変身」しようとしているところだろう。今まで育ててくれた姉の葛葉晶(泉里香)を助けるため、色々な仕事に従事し、今はカレー店の配達の仕事に精出して、食費も家賃も稼ぎ得ている。そのために彼はダンス集団「鎧武」から足を洗っていた。ダンス集団の間に流行しているインベスゲームに彼が興味を持たないのは、その得体の知れなさの背景には何か闇があるのではないのか?と疑わずにはいられない洞察力の持主である点も含めて、彼が既に「大人」になろうとしているからだろう。
とはいえ彼は元来、頼り甲斐のある「大人」だったに違いない。なぜなら呉島光実(高杉宇宙)をはじめ「鎧武」の人々は今なお、困ったときには常に、葛葉紘汰が不在であることの痛手を痛感せずにはいられない様子だからだ。
困っている人を見れば手助けしないではいられないのがこの主人公の性格であるのは、カレー店の配達の途中にも寄り道をして人助けに乗り出したことから窺える。彼なりの正義感をよく表しているが、仕事を放棄するのは「大人」の所業としては少々問題があり、ゆえに彼自身が、もっと力のある「大人」に「変身」したいと悩んでしまうことにも繋がっている。
もっとも、寄り道の場面二連発は、三度目の寄り道の場面を不自然に見せないための条件付けでもあったろうか。なぜならダンス集団「鎧武」における仲間だった親友の角居裕也(崎本大海)から携帯電話メールで奇妙なベルトの存在を知らされ、工場の裏に呼び出されたとき、そこに何か奇妙な空間が発生しているのを見るや、待ち合わせの場所になぜか見当たらない親友を探すよりも先に、その空間への潜入を試みてしまったからだ。
その空間の中は不気味な密林で、そこにはインベスゲームに登場する謎の怪物インベスが何体も生きていて、そこに茂る樹木になる果実の正体は、インベスゲームでインベスを登場させるために用いるロックシードだった。地面には角居裕也が入手したらしい謎のベルトが落ちていて、そしてそこへ葛葉紘汰を呼び出した角居裕也は現時点では不在。普通に考えて、これは極めて不穏であり、早くも恐ろしい。