弱くても勝てます第七話

土曜ドラマ「弱くても勝てます」第七話。
前半には何時になく小田原城徳高等学校野球部一年生の光安祐太(平岡拓真)が物語の鍵を握ったが、後半には三年生でありキャプテンである江波戸光輝(山崎賢人)が華を担った。
光安祐太は、堂東学院高等学校野球部のエース、吉永藤一郎(宮崎駿)の実弟。姓が違うのは両親が離婚したから。兄を引き取ったのは父親で、開業医。しかし兄は野球一筋であるから東京大学にもどこの大学の医学部にも合格できそうもなく、弟は野球の能力を持ち合わせないが、合格を期待できる。兄弟は互いを思いながら、互いに負い目を感じてもいる。そして吉永藤一郎は予て小田原城徳高等学校の白尾剛(中島裕翔)をライヴァルと見てきた。
吉永藤一郎からの挑戦状に応じた小田原城徳高等学校野球部の中で彼の剛速球を見事に打ち取ったのが選りにも選って最も頼りないキャプテン、江波戸光輝だったのがドラマティクに面白かったわけだが、この最高の見せ場に向けて江波戸光輝の頼りなさが執拗なまでに積み重ねられたのも、ドラマを作る部分としてだけではなく、描写それ自体として面白かった。江波戸光輝は野球部の合宿を嫌がっていたが、その主な理由は、個室でなければ寝ることができず、大浴場でも皆の前で裸になって入浴する気にもなれないからだった。大浴場の更衣室で、今や彼の一番の親友にもなりつつある岡留圭(間宮祥太朗)が江波戸光輝の身体に掴みかかって無理矢理に衣服を脱がそうとしていたのは、二人の間の普段からの、過去の経緯もあって少々複雑な、しかし妙に熱気を帯びてエロティクな関係をよく表していて見ものだったろう。なお、今回の話では赤岩公康(福士蒼汰)に顕著な見せ場がなかったのだろうか。