水球ヤンキース第六話

土ドラ「水球ヤンキース」第六話。
三船龍二山崎賢人)は本当に裏切ったのか?本当に霞野工業高等学校水球部から水蘭高等学校水球部へ移籍したのか?と視聴者を驚かせたところで終わったのが先週の第五話。
この意外な事態を受けて霞野工業高等学校水球部は一気に四散する格好となったが、そうした中でも唯一人、稲葉尚弥(中島裕翔)だけは三船龍二が皆を裏切るはずはないこと、必ずや戻ってきてくれるだろうこと、そして他の皆も同じように戻ってきてくれるだろうことを信じ続け、待ち続けた。その信じ続け、待ち続ける姿が実に良かった。
実際、三船龍二は裏切ってはいなかった。彼の真の狙いは、彼の才能を引き出してみせると豪語した水蘭高等学校水球部の顧問教諭の庄司真冬(倉科カナ)が一体どのような戦略を抱いているかを探ることであり、それは換言すれば、強豪であるはずの水蘭高等学校水球部が密かに抱える唯一の弱点が一体どこにあるかを探ることにあった。敵を欺くために先ずは味方を欺いたわけだが、多分、大概の視聴者が予測していた展開ではあったろう。その意味では無理のない自然な話の流れであると云えるかもしれない。
とはいえ彼が真相を明かした場面の熱さは、彼が稲葉尚弥の力を信じ、己の力で稲葉尚弥の才能を開花させてみせると宣言してみせたところにある。稲葉尚弥が三船龍二を信じていたように、実は三船龍二も稲葉尚弥を信じていたのだ。
もっと面白かったのは木村朋生(千葉雄大)、志村公平(中川大志)、加東慎介(吉沢亮)の三人組の行動。三人組は三船龍二が去ったのを知って同じように去り、女子アイドルに夢中になるだけの元の生活に戻ったが、この決断の裏には、友である三船龍二にどこまでも頼り切っていたことへの反省と、三船龍二のためには全く頼りになれなかったことへの反省があった。そんな三人組が稲葉尚弥の許へ戻ることを決意したのは、応援する女子アイドルのコンサート会場の客席で、当のアイドルの言葉を聴きながら、むしろ応援する側から応援される側に変わりたいと思ったからだった。このアイドルがコンサート会場に現れる直前に偶々道に迷っていたところを稲葉尚弥に助けられ、稲葉尚弥の熱い言動に接して感銘を受け、霞野工業高等学校水球部を応援したいと思うようになっていたことが、三人組の決意を決定付けた。応援していたアイドルから、逆に応援される側になったのだ。こんな展開が来るとは今日の第六話の前半までの間には予想できていなかったが、アイドルが稲葉尚弥と遭遇した時点ではその後どうなるかを多くの視聴者が予想できたろう。ここでもやはり無理のない展開で、自然に納得できる話になっていたと云える。