仮面ライダードライブ第二十二話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第二十二話「F1ボディでどうやって戦えばいいのか」。
ドライブに変身する警視庁特状課巡査、泊進ノ介(竹内涼真)は敵を倒すことよりも人を助け、犯罪事件を解決することを目指し、マッハに変身する詩島剛(稲葉友)は事件の謎を解く能力を有しているにもかかわらず事件それ自体には実は興味を持たず、敵を倒し、打ち潰すことを目指してきた。この差は、泊進ノ介が刑事であるのに対して詩島剛が市井の自称カメラマンであるという条件によって裏付けられ、同時に、泊進ノ介がチェイス上遠野太洸)の更生を信じているのに対して詩島剛が信じていないという事態をも裏付けている。詩島剛が「ドライブは人を助けるライダー、マッハは敵を打ち潰すライダー」と述べたのはそのような認識に基づいているように見える。
第二十一話でブレン(松島庄汰)はチェイスの身体に毒一滴を仕込んだが、その毒の効能は、メディック(馬場ふみか)による無理な洗脳の効果を薄めるところにあったらしい。ブレンは自ら何かを仕掛けたのではなく、メディックによって仕掛けられていたのを弱めたに過ぎなかった。結果、今回の話の前半における戦闘の只中、チェイスは本性によって更生しかけていた。チェイスには放っておけば直ぐに更生してしまう性格があるということは、メディック登場の前までは繰り返し描かれてきたが、今こうしてあらためて明かされた。この傾向がメディックによって再び歪められ、チェイスは敵として設定されたドライブを打倒するのを最優先の目的とする機械に改革された。
そして今回の話の後半、チェイスが取り返しのつかない罪を犯すのを防ぎたいと願うドライブによって、ついに魔進チェイサーは打倒され、その「コア」は消滅させられた。
しかるに、ロイミュードでしかない魔進チェイサーの心身は消えたが、人間のような身体を持つチェイスは生き残っていた。チェイスの更生を誰よりも信じていた詩島霧子(内田理央)が発見した。匿ったに相違ないのは誰もが予想できるが、チェイスに対して誰よりも強く敵意を抱く詩島剛が姉と同居していない事実が、ここで重要な意味を持つとは予想外だった。
それにしても、今回の話の中盤、ブレンに対するメディックの御仕置の場面では、チェイスの強さ、ブレンの弱さ、メディックの冷酷、そしてハンカチの焼失が強く印象に残り易いが、メディックがチェイスを単なる機械としてしか扱っていない点も見落とし難い。設定された目的を遂行するために行動するだけの、手段でしかあり得ない存在。それが機械。だが、ロイミュードを単なる機械でしかない状態から解放することこそが、ロイミュード軍団の首領、ハート(蕨野友也)の志ではなかったか。メディックがハートに対する反逆者であることは明らかだろう。