仮面ライダードライブ第二十四話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第二十四話「なにがマッハを走らせるのか」。
謎の連続爆破予告事件の容疑者は、高校生男子の茂木拓郎(武子直輝)。シュートのロイミュードに目を着けられ、姿を貸し出し、力を与え、そうして利用され尽くしたのちに消されようとしていた人物。
困ったことに、彼の容姿は「ヒーロー」に向いていた。役者は悪役をも演じ切る力量を具えていたが、本来であれば仮面ライダーの二号やスーパー戦隊の青に起用されて然るべき人ではなかったろうか。
事件の終了後、この高校生男子は警視庁特状課長の本願寺純(片岡鶴太郎)から、確り反省して罪を償ったのちには自身を頼って訪ねてくるように声をかけられていた。シュートのロイミュードから死を宣告されて二人で恐怖を共有し、一緒に乗り越えた結果、特別な連帯感を持つに至ったらしい。実際にも更生した彼が特状課を訪ねてその仲間になる展開があってもよいのではないだろうか。
今回の話の主人公は、ドライブに変身する特状課巡査の泊進ノ介(竹内涼真)ではなく、マッハに変身する詩島剛(稲葉友)。
彼は焦っていた。焦っていた理由は、ロイミュードがどんどん新たな力を得て強くなり、それに応じてドライブもどんどん新たな武器を得て強くなってゆく中で、マッハだけは新たな何をも得ることを得ないでいる点にあった。ロイミュードを倒すのは己でなければならないと感じているからこそ、この孤独な停滞に耐えられないでいた。
しかるに、謎の科学者ベルトさん(声:クリス・ペプラー)の診断するところ、むしろこの焦燥こそが停滞を深刻化させる原因でもあった。なぜなら詩島剛の強みは自分を信じる力の強さ、自信の強さにあり、それがあるからこそ、ドライブを上回る能力を誇る「最新型システム」マッハの装着者に選ばれたのであるから。彼が持ち前の自信を維持する限り、マッハに潜在する力を引き出して成長することができるはずであり、今そうなることを妨げているのは彼の焦りに他ならなかった。
ベルトさんからのこの助言と、唯一の肉親である姉の詩島霧子(内田理央)からの激励とを得てマッハ=詩島剛は見事に立ち直った。だが、詩島剛は予て、戦闘に従事できる時間の制限という問題を抱えていて、それについては未解決であるし、ロイミュードに対して彼が例外なく敵意を抱いているが、それについても何も解明されていない。
ロイミュード軍団にも新たな展開が認められた。メディック(馬場ふみか)に対するブレン(松島庄汰)の反撃は失敗し、メディックは相変わらずブレンを侮辱しようとしていたが、もはやハート(蕨野友也)はそれには乗じなかった。ブレンを否定するのではなく、メディックに肯くのでもなく、あくまでも己自身の心にのみ従う本来の姿勢に戻っていた。彼の今の関心は、ブレンの失敗にはなく、メディックの計略にもなく、あくまでもデッドヒートを乗り越えたマッハ=詩島剛の強さにこそあった。
そしてチェイス上遠野太洸)は、詩島霧子の信頼と好意を受け止めたように見えた。それなのにどこかへ去ってしまったが、どこへ向かったのかは次週以降を待たなければならない。