仮面ライダードライブ第三十二話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第三十二話「進化の果てに待つものはなにか」。
チェイス上遠野太洸)が今や仮面ライダーであると同時に仮面ライダーの守護者でもある。ドライブ=泊進ノ介(竹内涼真)の戦闘を支えるだけではなく、ベルトさん=クリム・スタインベルト(声:クリス・ペプラー)に志を想起させ、マッハ=詩島剛(稲葉友)を取り戻そうとしている。
しかも彼は、捜査にも戦闘にも関係する重要な事実としての、ロイミュードの戦闘能力に関する重要な事実を知っていた。それを泊進ノ介にも詩島霧子(内田理央)にも明かしていなかったのは唯一の欠点だが、誰からも聴かれなかったのだから仕方がない。
さらにチェイスは、ロイミュード001=フリーズ=真影壮一(堀内正美)の語った「超進化態」の意味を探るべく、ロイミュード002=ハート(蕨野友也)との接触までも試みた。ここにおいてチェイスがハートに決闘を申し込まれたのは、ハートにとっては、自身が超進化態に達するための力を与える存在がチェイスであり得るかどうかの試験だったようだが、どうやらハート自身の予想していた通り、それはチェイスではなかったらしい。多分、ハートに戦いの「喜び」を与えてくれるのは泊進ノ介に他ならないのだろう。では、チェイスの何がハートには物足りないのだろうかを考えるに、やはりチェイスが今や敵対していようとも互いにどこか「友達」でもあり続けている点が、戦いの「喜び」を妨げているのではないだろうか。
それにしても、チェイスがプロトドライブだった頃にクリムから教えられて今なお維持している志は、「人間を守るのが仮面ライダーの使命」ということにある。
そのことの意味は、フリーズ=真影壮一の言との対比において際立った。フリーズは、人間の記憶を凍結する己の能力の及ばない「特異体質」の人間の中にも、泊進ノ介のような「超人」ばかりではなく、「とるに足りない連中」、「ちっぽけな、何の価値もない人間ども」が少なくないことを述べて、理解し難いと云い放った。そしてそのような人々の一人として、泊進ノ介が捜していた行方不明者、藤木巌(平尾仁)を挙げた。だが、ここにおいてチェイスは、藤木巌の子である藤木徹(澤村大輔)に反論させた。これは一面では危険な戦場に民間人を巻き込んだ格好でもあり、ゆえに巡査である詩島霧子(内田理央)は怒ったが、チェイスは平然と、「守れば良い」とだけ応じた。チェイスの目的は、フリーズの行動を深く告発することにある。フリーズは特殊な目的に照らして人間の価値を決めつけて切り捨て、云わば人間を手段としてしか用いない。仮面ライダーチェイサー=チェイスの「人間を守る」という使命はその対極にある。ハートが話し合える仲であるのに対してフリーズが問答無用の敵でしかない所以はそこにある。
今朝の話の最後、泊進ノ介の「殉職」という予想外の展開が生じた。それをどのようにして解決するのかについては次週以降を見なければならないが、気軽に主人公を殺してもらいたくないのと同時に、簡単に再生させないでもらいたいとも思う。機械と人間を対比させているドラマが人間を機械のように簡単に再生させるのは理に適っていない。