仮面ライダーゴースト第二十一話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第二十一話「驚異!眼魔の世界!」。
魔界で「大帝陛下」と呼ばれているアドニス(勝野洋)は第二王子のアラン(磯村勇斗)に期待している様子で、第一王子である王世子アデル(真山明大)はそのことに嫉妬している様子。
アドニスがアランに期待しているのは、アランが人間界から来た深海マコト(山本涼介)と深海カノン(工藤美桜)の兄妹と親しく接し、特に深海マコトを無二の友としていること、そしてアランが暫し人間界に滞在してその景色を観てきていることに意義を見出しているからだろう。要するに、アドニスは人間界の存在を無意味ではないと感じているということだろう。
アランの姉にあたる王女アリア(かでなれおん)もまた深海マコトと深海カノンの兄妹に親しみを感じていて、アランと両名との間の友情が今後も続くことを期待している。どう見ても、アリアも父アドニスと同じく、アデルよりもアランにこそ期待していると見受ける。そう考えるなら、眼魔界の帝室の中で孤立しているのはアランではなくアデルであると見るほかない。
アドニスがアデルと対立しているのは、「心」に対する態度において。驚くべきことに、アドニスはアランに対して「アラン、迷ったときは自分の心に従え」と告げていたのだ。このことは、眼魔にも心があることを表している。アデル配下の御用科学者イゴール山本浩司)が人間の心の非合理性を嘲って眼魔の合理性を誇っていたこととの間に鋭い対立をなしている。イゴールの主君アデルが心の意義を認めず、ゆえにアドニスはアデルに期待しないのに対し、アランは深海マコトとの間に友情を育んだことで既に実は心を有し、ゆえにアドニスはアランに期待しているということだろう。
深海マコトは眼魔界に置かれたままになっている己の身体を取り戻すべく眼魔界の帝城へ潜入し、天空寺タケル(西銘駿)も、月村アカリ(大沢ひかる)と御成(柳喬之)と画材眼魔(声=松野太紀)の合同作業による力を得て眼魔界へ飛んだ。その間、天空寺タケルは画材眼魔だけではなく甲冑眼魔(声=幸田直子)との間にも信頼を育んだ。画材眼魔は造形表現への意欲に突き動かされ、甲冑眼魔は正々堂々の試合をこそ潔しとする騎士道精神で行動する。何れも、それぞれの心を持している。天空寺タケルの友情は、眼魔それぞれの心を尊重して信頼し得るところに成立していて、なるほど、心への態度を軸にして上手い具合に話が動き始めているらしい。