映画ハイ☆スピード!ブルーレイ&DVD発売記念舞台挨拶ライヴヴューイング

映画「ハイ☆スピード!Free! Starting Days―」Blu-ray&DVD発売記念舞台挨拶ライヴヴューイング付き上映会。
開演は夜七時十五分だが、広島におけるその会場「109シネマズ広島」に入ったのは夕方六時十五分頃。一時間も早かったので、下の階の書店やゲームセンターを眺めたあと、夜七時の少し前に三階の映画館へ戻り、グッズ売場を探したが、なかなか見えにくい場所にあった。映画「ハイ☆スピード!」イヴェントのためのグッズを求めたが、生憎、セット販売になっていたグッズは完売していた。何ということだろうか。もっともっと早く来た方が良かったのだろうか。聞けば、映画のパンフレットだけは在庫ある由だったので、既に映画上映時にも二冊は買っていたが、さらに追加で二冊だけ買っておいた(しかし今思えば、さらに三四冊も買っておけば人に配るにも丁度よかったのかもしれない)。ともかくも、抹茶ラテを購入してから七時前に会場へ入った。
全席指定ということだが、これは文字通り席を指定されてしまう格好で、選択の余地がなかった。実は満席ではなかったのに、一箇所に密集して座らされたので何とも窮屈だったのは正直な感想。しかも後列の席を指定されたのは、画面全体を見渡し易いように配慮してくれた結果であるのかもしれないが、なるべく前列の席に座して映画館ならではの画面の大きさを感じたいと願望している者にとっては少々迷惑な配慮ではあった。
このように、指定された席に関しては不満だらけだったが、映画そのものの素晴らしさと舞台挨拶の面白さについてはもちろん大いに満足した。
今回も舞台挨拶の生中継放映は映画本編の前と後にそれぞれ行われた。登壇したのは島崎信長(七瀬遙)、鈴木達央(橘真琴)、豊永利行(椎名旭)、内山昴輝(桐嶋郁弥)の四人。一月十七日の大ヒット記念舞台挨拶中継ライヴヴューイングには野島健児(桐嶋夏也)がいたが、鈴木達央がいなかった。三月のイヴェントでは日野聡(芹沢尚)も含めて六人が勢揃いをするらしい。
一月のライヴヴューイングでは島崎信長豊永利行内山昴輝野島健児が各々こだわりの「ハイライト」がどこであるのかを語ったので、今回は鈴木達央が「ハイライト」「見所」を語った。鈴木達央が選んだのは、七瀬遙が制服の学ランの詰襟を窮屈に感じて嫌がっている場面。なるほど、これは極めて重要な場面に相違ない。なぜなら季節が移り、小学生が中学生となって何もかもが急に変化してゆく中で、何とも云いようもなく寂しさを感じないではいられなかった点にこそ七瀬遙の抱えていた問題があり、それが橘真琴との間の微妙な喧嘩の原因をもなしていたから。だからこそ七瀬遙は橘真琴に「真琴は真琴だろ?」と詰問せずにはいなかったし、着衣のままの遊泳の直後、橘真琴が取り戻した無邪気な笑顔を見て幼い日の彼の笑顔を想起したとき七瀬遙もまた己の本当の気持ちを取り戻さずにはいなかった。あの四月に七瀬遙を戸惑わせ、憂鬱にしていた急激な周囲の変化の云わば象徴があの窮屈な詰襟だったわけで、そう考えるなら、鈴木達央の選択は実に深い。流石と云わざるを得ない。
映画本編については既にブルーレイディスクもDVDも入手しているし、今日もパソコンと一緒にDVDを携えていて、今からでも観ることができるが、やはり映画館で観るのは一味違う。そして「ハイ☆スピード!」は何度観ても楽しめる。
夜の岩鳶スイミングクラブにおける七瀬遙と橘真琴の着衣のままの遊泳の、あの小魚のように軽やかな、しなやかな動作の美しさ。本気で涙が出た。そして見事なメドレーリレーを泳ぎ切って、優勝して、桐嶋郁弥も椎名旭も橘真琴も興奮して七瀬遙に抱き付こうとする瞬間には、泣きそうになった。
唯一悩ましいのは、上映会の最後、「Free!シリーズ」の新たな映像制作の企画が進行中である旨の告知があったこと。「ハイ☆スピード!」の続編やサイドストーリーであれば嬉しいし、「Free!」のサイドストーリーであれば多少は楽しみであり得るが、もし「Free!」「Free!ES」の続編であれば、怖くて見たくないと感じることだろう。京都アニメーションが「ハイ☆スピード!」に感動した人々をどのように見ているのかが問われよう。世の中には「Free!」を全く見ないまま映画「ハイ☆スピード!」に興味を抱き、実際に観てのめり込んだ者(しかし「Free!」にも遡った結果、その最終回に失望してしまい、「Free!ES」には手を出せないでいる者)もいるのだ。
そういえば、確か映画「ハイ☆スピード!」の公式ファンブックでのことだったか、島崎信長も、「Free!」と「Free!ES」で描かれた七瀬遙と橘真琴の未来とは違った未来が、映画「ハイ☆スピード!」の先には拓けてきてもよいのではないかと思う旨の発言をしていたかと記憶する。京都アニメーション島崎信長と同じように考えてくれていることを祈るしかない。