旅行記六神戸市立博物館貞秀展

旅行記六。
今日も休日。十一時頃にホテルを外出して、地下鉄の京都駅から四条駅へ移動し、阪急電車烏丸駅から十三駅を経て三宮駅へ。快晴の空の下、神戸の美しい街並を眺めながら暫し歩き回り、昼一時頃に神戸市立博物館に到着。三月からこの館で開催される「大英博物館 古代ギリシャ展-究極の身体、完全なる美」の前売券を購入して大理石像《円盤投(ディスコボロス》公式フィギュアの引換券を入手。そして現在開催中の特別展「ワイドビューの幕末絵師 貞秀」を観照。
浮世絵師の五雲亭貞秀が描いた鳥瞰図の壮大な風景画や詳細な地図、開国から間もない横浜の新たな風俗や建築の図、時事の表現、さらには武者絵や合戦図等まで多彩な画業を物語る作品群を特集した展示で、これを見れば、彼が云わば「万巻の書を読み万里の道をゆく」文人肌=学者肌の浮世絵師だったことを知ることができる。地図や鳥瞰図の中にも風俗や時事や有職故実に関する要素までもが描き込まれていて、絵図を描くこと=絵図を見ることが世界の意味を把握することに他ならぬことを再認識させてくれる。芸術とは学問に他ならないのだ。
一階のホールに展示されていた古地図も観照したあと、館を出たのは三時半頃。暫く周囲の街並や建築を見物していたところ、近くの立派な高層建築の一階に「神戸らんぷミュージアム」があったので序にそこも観照。江戸時代を中心に、古代から現代までの日本の照明の歴史を学習できるが、照明器具の各種の工夫に感心したり美しい装飾に見惚れたりするだけでも充分に楽しい展示だった。電灯がなかった時代の和洋両方の夜の室内の、予想以上の照明の暗さを実感できる展示もあって、現代の照明の明るさに感謝することもできる。鑑賞者は館内の喫茶店で珈琲等を一割引で頂戴できる。かなり楽しめる博物館だった。
夕方四時四十五分頃にそこを出て、南京町の中華街へ。日曜の夕方だったからか、大いに賑わっていた。一軒の中華料理店へ入り、焼売と炒飯で夕食。今日は昼食を摂っていなかったので、これが昼食を兼ねた早めの夕食。かつて長崎の新地中華街で入った中華料理店に比べると少し物足りない気もしたが、それなりに満足してそこを出て、六時頃に阪急電車三宮駅へ。十三駅を経由して烏丸駅へ行き、地下鉄で四条駅から京都駅へ戻って夜七時半頃にホテルへ帰った。