仮面ライダードライブ第十九話

平成「仮面ライダー」第十六作「仮面ライダードライブ」。
第十九話「なにが刑事を裁くのか」。
警視庁特状課巡査、泊進ノ介(竹内涼真)は、刑事の先輩である警視庁捜査一課の警部補、追田現八郎(井俣太良)が五年前の殺人事件の犯人である宇津木壮(青柳尊哉)をついに逮捕しようとしていた現場で、その犯人に対する警察OBの橘真伍(中沢青六)の復讐心を満たすべく犯人を殺害しようとしていたジャッジのロイミュードに対抗するため、仮面ライダードライブに変身した。
今まで仮面ライダーを度々目撃しながらも全身像を見たことのなかった追田現八郎は、ついにその全身像のみならず変身前の正体をも見るに至ったのか?と一瞬は思わせたが、どうやら変身の寸前に彼は気絶したらしい。しかも戦闘が終了するまでは正気を取り戻すこともなかったらしい。
橘真伍は、たとえ変身の瞬間を目撃し、変身前の正体を知ったとしても、それを世間に触れ回るような真似はしないのだろう。宇津木壮はどうだろうか。あれ程の悪人であれば、知り得た情報を悪用することが充分に予想される。追田現八郎と同じく気絶していたに相違ないと推測しておこう。
それにしても五年前の復讐代行人「ジャッジ」の正体だった宇津木壮は、何を思って復讐代行人を営んでいたのだろうか。もちろん正義の味方を気取っていたという面はあったろう。だからこそ五年前、悪い集団を懲らしめようとして返り討ちに遭っていたところを助け出してくれた通りすがりの岡島冬馬(吉田悟郎)の、余りにも自然な正義の心の表れ、強さと爽やかさに嫉妬して、殺害してしまったのだろう。本物の正義の味方を目撃して嫉妬する程度には、己を正義の味方であると自認していたということに他ならない。それは同時に、己が紛い物でしかないことを自覚できていたということでもある。正義の味方の名の下に「ゲーム」としての復讐代行を楽しみ、他人を痛める欲望を満たしつつ、正義の味方になった気分をも味わっていたのであると要約することができる。