仮面ライダー響鬼

新番組、テレビ朝日系ドラマ「仮面ライダー響鬼」。一之巻。
凄かった。驚いた。斬新な作風だ。和太鼓を用いた序曲は時代劇風だったが、本編の冒頭はミュージカル風に、盛大な効果音や伴奏音楽に合わせて準主人公の十四歳の少年、安達明日夢栩原楽人)が歌い躍ることで始まったのだ。斬新であるとも云えるが、案外「古き良き」子供番組の雰囲気を新たな形に再興したものとも云えるのかもしれない。ともかくも驚いたのは間違いない。
ちなみに物語の基本的な舞台は葛飾柴又なのか。
明日夢が母に連れられて郷里の屋久島へ向かう船上、海上にイルカの大群が泳いでいたのはよい絵だった。そのとき同じくフェリーの甲板上から海を眺めていた男として、主人公ヒビキ(細川茂樹)が登場した。史上最年長の三十路「仮面ライダー」になる男。しかも上機嫌で「蘇我入鹿」の歌を歌いながら。駄洒落だ。否、オヤジギャグなのか。
船から落ちそうになっていた小さな子供を超人的な腕力で引き上げ見事に救出したヒビキは、驚きながら見ていた明日夢に対し、「結構鍛えてます!」と語りかけて去った。また、そのあと屋久島の森の中で再会したときにも、「ヒビキさんて、上の名前ですか?それとも下の名前ですか?」「ヒビキです」「あの…フェリーのあの子、大丈夫でした?」「大丈夫です」「あのときのヒビキさん、凄かったですね」「鍛えてます!」という会話があった。「鍛えてます!」というのは彼の決め台詞なのか。
細川茂樹ジュノンボーイとして芸能生活に入ったが、それ以前、アマチュア水泳選手としては国体に出場する程の力量だったとも聞く。市販のTシャツでは体が入らない位に胸板が厚かったという話は何年も昔の彼自身の発言にあったかと記憶する。だからヒビキの「鍛えてます!」という台詞は細川茂樹本人の言としても違和感ないのかもしれない。なお、彼は確か甘党で趣味は古書店廻りだとか。独特だ。
アクションも凄かった。屋久島の森の中を駆け廻り飛び回りながらの戦闘が面白かった。特撮ドラマにおける迫力の戦闘場面に必ずしも爆破は必要ではないのだ。
しかし何と云っても凄かったのは、主題歌を歌うのがあの布施明だったことだ。まさか布施明で来るなんて。しかし感動的な熱唱ではあった。今年の紅白歌合戦には仮面ライダー響鬼の主題歌「少年よ」で出場して欲しいものだ。
なお、番組提供者のバンダイや丸大のCMも新たになった。番組が新たになれば商品も新たになるから当然だが、以前の丸大「仮面ライダー剣ソーセージ」の「お兄ちゃん夢中だね!」というCMは結構楽しかったので、それを永遠に見れなくなったのは寂しい。とはいえバンダイCMにおける細川茂樹の「今欲しいんだよね、君の力が」で始まり「君も響鬼だ」を経て「よろしくな!」で結ばれる商品紹介は傑作だった。問題なのは仮面ライダー響鬼の容姿(デザイン)が全然美麗ではない点だろうか。これは痛い。やはり仮面ライダーは基本的にバッタ型であるべきではなかったか。