仮面ライダー響鬼

テレビ朝日系ドラマ「仮面ライダー響鬼」。細川茂樹主演。
四之巻「駆ける勢地郎」。
十四歳の少年、安達明日夢栩原楽人)は、ヒビキ(細川茂樹)に余りにも強烈に憧れる余り、云わば相思相愛の関係を期待していた。だから、そんな期待感が裏切られているかもしれないと感じたときには、救いようもなく落ち込んだ。落ち込んで、そのまま寝て、そして翌朝、目を覚ましたときにも元気はなかった。よく眠れなかったのではないだろうか。屋久島でヒビキにもらった御守を見詰めては悲しんでいたが、意外に彼は前向きでもあった。御守を机の引出の中に仕舞って心機一転、学校へ通い、受験勉強に邁進し始めた。
ところが、夕方、学校からの帰途、柴又の商店街で明日夢は、もう一人の不思議な人物に出会った。
その男=立花勢地郎(下條アトム)は、葛飾柴又の商店街の路上、中年女性の運転する自転車と衝突しそうになっていた幼い女子を見事に救出した。偶然目撃したその救出劇に、明日夢は何かを感じた。恐らくは屋久島へ向かう船上でのヒビキの姿を重ね合わせたのだ。思わず尾行してみれば、その男は一軒の店に寄りヒジキを購入していた。ヒジキという語に妙に反応した明日夢。でもヒジキはヒジキだ。ヒビキではない。やはり明日夢はヒビキへの憧れを捨て切れていなかったわけだ。そのとき!ヒジキ店の主人とその男との会話の中に、確かに「ヒビキ」という名が登場した。間違いない。この男の近くに行けば多分ヒビキに会えるに違いない。確信して追跡を続けた。女友の持田ひとみ(森絵梨佳)も同行してくれた。面白い友人だ。
他方、その男=勢地郎[いちろう]は、彼ら二名の不思議な追跡者の存在に気付いて疾駆し始めた。追いかける明日夢と女友ひとみ。延々走り続けた挙句に追う相手を見失い、疲れ果てて立ち止まった二人の背後に、勢地郎が姿を現した。「君たち!何の悪戯だい?」と勢地郎は訊いたが、二人とも走り過ぎて息切れで口も利けない有様。それを見て笑いながら彼は云った。「鍛えてないなあ」。
同じ頃、ヒビキは山奥で「魔化魍」退治に励んでいた。苦戦したが、何とか敵を発見し太鼓に見立ててバチで連打し「清めの音」で無事退治した。任務を完了して葛飾柴又の甘味処「たちばな」に帰宅したヒビキと立花香須実(蒲生麻由)。店内では店員の立花日菜佳(神戸みゆき)のほか、立花の「おやっさん」勢地郎、そして明日夢とひとみが待っていた。制服姿の明日夢は恐縮した様子だったが、ヒビキの何時も通りの陽気な軽い挨拶を受けて、漸く明日夢に笑顔が戻った。
というわけで今回は「鍛えてます」の代わりに「鍛えてないなあ」が登場したのが面白かった。ともかくもドラマは新展開を見たわけだ。