みんな昔は子供だった

フジテレビ系ドラマ「みんな昔は子供だった」。国仲涼子主演。第七話。
学校で級友の一人が泣いているときに皆で協力して問題を解決することは、それ自体は無論よいことだ。だが、それのために学校の授業さえも放棄するのは正しいだろうか。教室に笑顔が満ちていること、子供たち皆が互いを思いやり幸福に生きていることは確かに価値あることだろうが、それと授業とを天秤にかけるこのドラマの制作者の姿勢は極端で安直で、率直に云って根本的に間違っていると思う。考えてみれば、都会の小学校高学年の進学校の生徒が山村留学先で小学校低学年並みの授業に甘んじるのを自然への回帰として肯定するこのドラマのもともとの設定それ自体が、そのような姿勢を導出したのは明白だ。それは要するに論理的・極限的には学校教育の否定の論であり近代国家そのものの否定の論でさえあって、そして現実的な問題としては所謂「ゆとり教育」の全面肯定の論に他ならない。