Mの悲劇・最終回

TBS日曜劇場「Mの悲劇」。土井裕泰演出。橋本裕志脚本。稲垣吾郎主演。第十話=最終回。
この物語の山場が第八話から第九話までの間にあったのは明白で、今宵の最終回は云わば戦後処理に費やされた一話だった。中で新事実の提出が一題あった。相原美沙の抱えた借金の取り立てを担いながらも何故か密かに美沙に優しかった尾崎雄介(大西滝次郎)。何と!彼は美沙と同じ孤児院の出身だったらしい。この物語の人間関係は極めて濃厚だ。
他方、未解決の謎が幾つか。例えば、二月二十七日放送の第七話の末尾、安藤衛(稲垣吾郎)が目撃した衝撃の場面の意味は何だったのか?ということ。あの場面、下柳晃一(成宮寛貴)は街中で薮本(渡辺卓)の煙草に火を点けていた。両名の間にはどんな繋がりがあるのか?分からない。あと、職場に復帰して再び出世街道を歩み始めた安藤衛に高山真治(井澤健)は取り入ろうとしたものの退けられ、却って暫くの謹慎を申し付けられた。確かに高山真治の性格には問題があるとはいえ、謹慎を命じられるような事件を惹き起こしたわけではなかったろう。この処分は不当ではないのか?という謎もある。ともあれ、この「Mの悲劇」というドラマ、全体としては実に緊張感の漲る面白い作品だったと思う。最後まで見続けてよかった。