曲がり角の彼女

フジテレビ系ドラマ「曲がり角の彼女」。稲森いずみ主演。第二話。
幸薄そうな顔立ちの「三十女」、ホテル企画営業部主任の大島千春(稲森いずみ)に対し、同ホテル社長の御曹司で副社長でもある甲本一樹(要潤)が既に愛を抱き始めているのは明白だ。そもそも社長の薦める見合い話を断るための嘘の恋人の役に敢えて大島千春を選んだところに、彼の思いがよく表れている。この思いは先週放送の第一話で既に芽生えていたはずだ。あとはそれがどのように発展してゆくのか、見守ってゆくだけだ。
合コンの場面では大島千春と他の男女との間の年齢差が問題化された。その際「小さかった頃に見ていたアニメ番組は何か?」との問いに大島千春=稲森いずみが「アラレちゃん!」と応えたのは、二〇〇三年放送の内館牧子脚本「年下の男」における山口千華子=稲森いずみを想起させる。
大島千春の同僚の一人、ホテルの客室係の山岸えり子(青木さやか)を弄んだ建設会社勤務の的場を演じたのは安藤亮司だったろうか。ところで、主人公と同じく三十路を過ぎた山岸えり子に関連して見落としてはならないのは、所謂「負け犬」の物語としてのこのドラマにおいて、大島千春は必ずしも完全に負けてはいないということだ。確かに三十路を過ぎて、今や若くはないかもしれないが、それでも美しい女性であることには変わりがない。若かった時分にも恐らくは勝ったことがなかったと思しい山岸えり子とはその点で異なる。かつての大島千春は多分、男に対して常勝だったはずだ。そしてそれだからこそ今の微妙な衰えが深い哀しみを生じるのだ。