がんばっていきまっしょい

フジテレビ系ドラマ「がんばっていきまっしょい」。敷村良子原作。金子ありさ脚本。池添博演出。鈴木杏主演。第八艇。
松山第一高等学校の修学旅行。なぜか行き先は大阪。近い。しかも旅行に来てまでも公園の池でボート部の皆でボートを漕ごうと提案したブー=関野浩之(錦戸亮)に対し、リー=矢野利絵(相武紗季)、ダッコ=菊池多恵子(岩佐真悠子)、ヒメ=中崎敦子(佐津川愛美)、イモッチ=中浦真由美(藤本静)が四人で寄ってたかって「ブー!」と責めたとき、「ブーって云うなよ…」と落ち込んだブー。ところが、不図気付けば既に池の上では悦ネエ=篠村悦子(鈴木杏)と中田三郎(田口淳之介)が二人でボートを漕いでいた。やはり似合いの二人だと四人は喜んだが、ブーだけは寂しげな表情だった。悦ネエに対するブーのこうした密かな想いの描写がよかった。
残念だったのは、先週の第七艇で既に予告されていた通り、SABUちゃん=中田三郎の想いの相手が同性のブーではなく五歳上の女、小百合(石川亜沙美)だったことだ。叶わない恋という点では代替可能でさえあるとしても、恋の成就の不可能性の度合いは桁違いだ。二択になり得ない程の隔たりがある。なにしろ小百合への彼の想いは実は片想いでさえないのだ。今回の失恋など所詮やがて解決される問題に過ぎないとさえ云えなくもない。これがもしブーへの片想いだったなら、恐らくは成就の可能性は永遠に皆無なのだ。そこに詩情が生じる。この度の改変は物語の濃さ、深みを甚だしく損なう選択だったと云わざるを得ない。
さて、物語の中で歳月は過ぎて主人公たちは高校三年の夏を迎えた。彼らの先輩たちは卒業してしまった。というわけで、松山第一高等学校男子ボート部の五人衆、安田恭一(北条隆博)・雨谷光太郎(滝直希)・窪田啓司(田中琢磨)・大塚秀明(三田村瞬)・酒井仁(福山一樹)の出番は終了してしまった。寂しいことだが、卒業を祝福して拍手を捧げよう。彼ら五人中、酒井仁役の福山一樹については数日前まで詳しいことをよく知らないまま容姿だけを賞賛してきたが、雑誌「TV LIFE」二〇〇五年十八号には彼を紹介する記事があった(関西版p.38)。所属はトヨタオフィスだったのか。矢田亜希子青木伸輔の所属事務所だ。トヨタオフィスには公式サイトがないらしく、福山一樹についてインターネット上で検索しても有益な情報が出てこないのは無理もない。