1リットルの涙第3話

フジテレビ系ドラマ「1リットルの涙」。木藤亜也原作。大島里美脚本。木下高男演出。フジテレビ&共同テレビ制作。沢尻エリカ主演。第三話。
物語は主として池内亜也(沢尻エリカ)と母の池内潮香(薬師丸ひろ子)の視点から叙述されているが、二つの視点の死角にあって事態の痛々しさを反転させた形で象徴するのが妹の池内亜湖(成海璃子)であると云えるだろう。母の潮香ばかりか父の池内瑞生(陣内孝則)までも亜也の行動に一々過剰反応するのを見て亜湖が「変な家族」だと反発するのは当然だ。亜湖は未だ真相を知らないからだ。知らされていないから知らないわけだが、知らせ得る立場にあるはずの潮香は今や亜也の不治の病のことしか頭になくて、亜湖の思いを想像するだけの余裕がない。亜湖の日常にもドラマがある。そして同じく麻生遥斗(錦戸亮)の、敬愛する兄の麻生圭輔(佐藤祐基)が昨年逝去したことの悲しみに起因する無力感にも、このドラマ世界の悲劇的な構図が映り込もうとしている。だから亜湖や遥斗の視点からドラマを表現することも可能なのだと思われる。その意味で重層的な作りなのだ。