1リットルの涙第6話

フジテレビ系ドラマ「1リットルの涙」。木藤亜也原作。江頭美智留脚本。木下高男演出。フジテレビ&共同テレビ制作。沢尻エリカ主演。第六話。
池内亜也(沢尻エリカ)には強い精神が求められているが、同時に亜也の家族にもまた並大抵ではない強さが求められてる。亜也の弟、池内弘樹(真田佑馬)は、姉が「不治の病」により上手く歩けなくなったことをサッカー仲間たちに笑われ、姉の姿を彼らに見られることを恥じた。彼のこの感情はそれ自体、恥ずべきことだが、同時に、姉のことで彼が苛められているのも現実なのだ。どんなに苛められようとも姉を守り、むしろ自力で苛めを乗り越えなければならないというのは正しいが、中学生の少年にとっては過酷な試練ではある。彼は自力で克服したが、恐らく現実には克服できない人々が多いのではないかとも想像する。亜也の妹で弘樹の姉である池内亜湖(成海璃子)の精神の強さには感動するほかない。
亜也の同級生の恩田耕平(水谷百輔)は家族との会話において亜也のことをどのように話題にしていたのだろうか。耐え難く重い苦しみを抱えた身近な人への深い同情を込めて語ったろうこと、そこに否定的な感情が一切なかったろうことは想像に難くない。それだからこそ彼の父は池内瑞生(陣内孝則)に真剣な「同情」を抱いたのだ。しかるに当然ここで「同情」論が出てくる。苦しんでいる人に対する「同情」は実は「差別」の変種ではないのか?というのは馴染みの問題提起だろう。だが、「同情」という語で表現される感情にも幅があり、単純には語れないだろうし、無よりは有が望ましいには違いない。池内潮香(薬師丸ひろ子)が「同情は必ずしも悪くはない」と云うのはその意味だろう。なお、麻生遥斗(錦戸亮)の「男は繊細だ」という言は正しいとは思うが、高校生の男子がそれを云うのは出来過ぎだろう。