花より男子第9話=最終回

TBS金曜ドラマ花より男子」。神尾葉子原作(漫画)。サタケミキオ脚本。石井康晴演出。TBSテレビ制作。井上真央主演&松本潤小栗旬松田翔太阿部力助演。第九話=最終回。十五分延長の特別拡大版。
牧野つくし(井上真央)が苦戦を強いられつつも勝ち進んでいた「TOJ」会場。道明寺司松本潤)が入場した瞬間には気分が盛り上がった。時に十時二十二分。油断のならない三条桜子(佐藤めぐみ)のあの行動は意想外だったが、実に理に適っていた。確実に優勝できていたはずの牧野つくしが意外にも優勝を逃した理由が牧野つくしの度量の大きさにこそあったのも理に適った展開。この種の意想外の必然性、或いは必然的な意外性が今宵の最終回を満たしていて、まさしく手に汗握るような興奮度の高さがあって面白かった。とはいえ道明寺楓(加賀まりこ)が「鉄の女」の仮面の下の寛容な一面を少しだけ覗かせたのは、一時間にわたり観者を焦らし続けた挙句、漸く全ての観者の期待感に応えた瞬間だった。観者の心理を巧妙に操り最大限の効果を得るかのような、本当によくできた作品だった。楽しめた。
伝聞するところ当初この時間帯には別のドラマ作品を制作する予定だったのが事情により中止となり、仕方なく急遽「花より男子」を作ることにしたとか。そんな急拵えの作品がこんなにも完成されていて面白かったという事実に驚愕する。所謂「ドラマのTBS」の底力を見せ付けられた感がある。