亀梨とジャージ

昼十二時から一時半まで放送された日本テレビ系「メレンゲの気持ち」は総集編。何となく予約録画しておいたのを今眺めたところ十二時八分時点で亀梨和也が登場。ジャニーズに入った経緯について語っていた。よく知られる通り彼はもともと少年野球では世界大会にも出場したことがある程の有力な選手で、将来はプロ野球選手を志望していたからジャニーズには全く興味なかったと云う。ところが、「親戚のお姉ちゃん」がジャニーズ宛に彼の履歴書を勝手に送付し、オーディションを受けることになったらしい。その当日にも彼は何も知らされていなくて、野球の練習中に車で迎えに来た父親に連れられるまま、服を着替えさせられて会場に移動。オーディションでは先ずはダンス・レッスンがあり、次いで社長「ジャニーさん」との質疑応答があったというが、周囲の少年たちが自信満々元気に踊ったり発言したりしていた中、彼は一貫して自信なかったらしい。今の彼の活力からは想像できないことだ。彼が自信を失ったのは、ダンスの時間、周囲の少年たちが最新流行のカッコよいジャージを着用していた中で彼だけは、そもそもジャージを所有していなくて、父親から借りた中古のジャージを着ていたからだと云う。…これは要するに「家庭の事情」ということだろう。牧野つくしの状況を想起するのが分かり易いだろうか。泣かせる。しかも何時も野球ばかりやってきた彼にダンスの経験はなく、まるで踊れもしなかったらしい。そして質疑応答の際にもジャニーズのことをよく知らない彼にとっては社長に聞きたいことなんかあるわけもなく、俯いて大人しく落ち込んでいたらしい。桐谷修二の孤独な状況を想起するのが分かり易いだろうか。泣ける。それなのにオーディション合格者一覧の約二十人中に彼の番号があったので、何かの間違いではないかと驚いたらしい。面白い話だ。渡辺えり子はジャージが目を惹いたのではないかと冗談を云っていたが、案外それもあるのかもしれない。でも、履歴書にもし野球での実績のことが記されていたなら、その時点で既に内定していたのではないだろうか。社長が無類の野球好きであることに加えて、少年野球での輝かしい実績は不屈の闘志と体力において将来の有望性を予想させて余りあるだろう。あと、ジャニーズらしからぬ地味な容姿もよかったのではないだろうか。地味な顔にも色々ある中で彼みたいな顔立ちは磨けば幾らでも華やかに化ける可能性があることを、社長は見抜いていたに違いない。