SUMMARY of Johnnys World

この一年間テレヴィドラマ界においては「ごくせん」以降「anego」「がんばっていきまっしょい」「ドラゴン桜」「金田一少年の事件簿」等を経て「野ブタ。をプロデュース」に至るまでジャニーズのアイドル集団「KAT-TUN」「NEWS」の出演した作品が多数あって何れも注目され評価された。これらの作品における彼らの容姿や演技や雰囲気に魅了された勢いでKAT-TUNのDVD「お客様は神サマーConcert　55万人愛のリクエストに応えて！」「Live海賊帆」やNEWSとKAT-TUN競演のDVD「SUMMARY of Johnnys World」を購入してしまった非ジャニーズ・ファンの人々も少なくなかったに相違ないと推察する。なにしろ昨日発表のオリコン年間DVDランキングによれば「Live海賊帆」DVD売上は第十位。しかも音楽DVDとしては第一位だったと云うのだ。「ごくせん」に起因するKAT-TUN人気の勢いを物語る結果と云わざるを得ない。実際、吾が家にも以上三枚のDVDがある。
で、今「SUMMARY of Johnnys World」を漸く鑑賞中。前半の「ジャニーズヒストリー」まで見終えた。世にジャニーズと云うと往々「歌って踊れるアイドル」と評されるが、この種の言は事実を半分しか捉え切れていない。そもそも歌って踊れる人気者なんて他に幾らでもいる。だが、ジャニーズでは歌い踊れること以上に、公達や武将の格好で空中を飛び回り刀剣を振り回して龍と闘えることが必要なのだ。w-inds.等には色々な意味で真似できない領域だろう。と云うか、そんなこと考えたことさえ皆無だろう。率直に云えば、ジャニーズの熱心なファンの間にもあれに違和感を抱く人々は必ずしも少なくはなかろうと拝察する。あの余りにも独特に過ぎる演出をどう見ればよいのか迷ってしまう大人は多いのではないだろうか。でも、多分あれこそが「世界のジャニー」ことジャニー喜多川という稀代の天才プロデューサーに固有の趣味＝様式、世界観の表出なのだ。その意味で今年のNHK大河ドラマ「義経」における源義経＝滝沢秀明は「ジャニー世界」を具現していた。DVD「SUMMARY」の冒頭「ジャパネスク」を見ると、そうしたことがよく分かる。そしてまた亀梨和也と山下智久がそのジャニー世界で実に栄える。活力に満ちた亀梨ばかりか飄逸の風格ある山下でさえ、当たり前のように空中で回転している。彼らは奇人ジャニー社長の無茶な要求にも普通に応えてしまえる人材なのだ。彼らが「修二と彰」を結成して「青春アミーゴ」で今年唯一のミリオンセラーを達成する驚異の成果を挙げ得たのも、案外、ジャニー社長にとっては想定の範囲内だったのかもしれない。ちなみに「SUMMARY」では亀梨和也が牛若丸、加藤成亮が弁慶に扮し、山下智久率いるNEWSが新撰組に扮している。
近藤真彦伝来の名歌「アンダルシアに憧れて」を歌う亀梨和也が精悍で色気に満ちているが、田口淳之介も颯爽としている。そしてNEWSとKAT-TUNをはじめジャニーズJr.の全員が揃ってV6の「輪になって踊ろう」を歌い踊る場面では増田貴久と赤西仁の晴れやかさが特に目を惹く。
「ジャニーズヒストリー」におけるメドレーが楽しめる。ジャニーズメドレーと云えば毎年大晦日の恒例フジテレビ深夜「カウントダウンライヴ」でも馴染みだが、その妙味は、往年のアイドルを現在のどのアイドルがどのように演じるのか、その配役の妙にある。例えば数年前、シブガキ隊の「NAI・NAI 16」をカミセンが担当し、森田剛が「ジタバッタするなよ！」と歌ったのは配役の上手さを感じさせた。その点、「SUMMARY」での配役も絶妙だと感じる。
例えば、SMAPの「$10」（1993年）を歌うのはKAT-TUNの赤西仁＆田口淳之介＆田中聖＆上田竜也＆中丸雄一。光GENJI「STAR LIGHT」（1987年）を歌うNEWSの増田貴久は、ローラースケートを履いて踊りながらも、落ち着いた美声の持ち主で、正直なところ本物よりも品格あるアイドル性を見せる。近藤真彦「ミッドナイト・シャッフル」（1996年）を歌うのはKAT-TUNの亀梨和也。こうして見ると亀梨は近藤真彦＝マッチには所縁が深い。シブガキ隊「NAI・NAI 16」（1982年）を歌うのはNEWSの草野博紀＆加藤成亮＆小山慶一郎。ジャニーズ史上一番の有名曲、郷ひろみ「男の子女の子」（1972年）を歌うのはNEWSの手越祐也＆増田貴久。彼ら二人の組み合わせがよい。来年正月放送開始TBS木曜ドラマ「ガチバカ！」での二人の活躍にも注目せざるを得ない。TOKIOの名歌「AMBITIOUS JAPAN！」（2003年）を歌うのはNEWSの山下智久。そういえばNEWSデビュー時、山下は丈の短めのパンツを穿いていたような気がするが、あれはTOKIOデビュー時の長瀬智也を継承していたのだろうか。亀梨がマッチで山下が長瀬か。このような配役の面白さのことをあれこれ考えるだけでも楽しめる。