第56回NHK紅白歌合戦

NHK「第56回NHK紅白歌合戦」。みのもんた仲間由紀恵がどんなに盛り上げようとも、今年一番の売上を達成した「修二と彰」のいない寒々しい歌番組である事実は誤魔化せない。というか御法川ハシャギ過ぎだろう。
北山たけしの背後にいて賑やかしの手拍子を打つTOKIOリーダー城島茂の笑顔が眩しい。三十五歳ながらも今なお現役ジャニーズ・アイドル。四年連続出場のw-inds.三人衆では千葉涼平緒方龍一が単なるバックダンサーと化していたのがバランス悪過ぎて面白くない。
七時四十五分、「仮面ライダー響鬼」前期の主題歌「少年よ」を熱唱する布施明の背後には響鬼威吹鬼轟鬼が登場。最後には変身前のヒビキ(細川茂樹)も登場。しかし「響鬼」を見ていない人々には何故ここで唐突に細川茂樹が出てきたのか全く理解できなかったことだろう。
八時三十分頃、前川清の出番の前、白組司会の山本耕史の横に山田洋次監督と木村拓哉が並んだ。こうして見ると木村拓哉が美しい。やや老けてもなお新たな色気を備え始めたかと見える。で、ここで山本耕史前川清の姓を山川と間違えてしまい、慌てていた。しかるに、萩本欽一門下でもある前川清は歌い終えたあと「山川でした」と名乗って終えた。
八時五十八分、TOKIO登場。長瀬智也作詞作曲「明日を目指して!」を演奏したが、声に比して楽器の音がよく聞こえない。音量のバランスがよくない。リハーサルが充分ではなかったのだろうか。何となく雑な印象があった。おかげで直後のCHEMISTRYが引き立ってしまった。
九時十分前後、吉永小百合による原爆詩の朗読のとき背後でオルガンを演奏していたのは大島ミチル。「ごくせん」の音楽を手がけた作曲家。
森山良子の「さとうきび畑」には森山直太郎もギター伴奏と重唱で参加。初の共演だそうだが、改めて聴くと流石に歌い方がよく似ている。
SMAPが「世界に一つだけの花」を歌う背後の群集の中にグループ魂の姿が見える。クドカン宮藤官九郎村杉蝉之介の姿が。
九時三十五分、紅組最大の見所、倖田來未が登場。バックダンサー衆が着衣なのに異様にエロティク。ダンスと衣裳の両面にわたり見事にエロ効果を上げたと思われる。この次の次の浜崎あゆみのバックダンサー衆が裸体なのに全然エロくなかったのとは対照的。
九時三十九分、D-51が今年一月から三月にかけて放送された日本テレビ土曜ドラマ「ごくせん」の主題歌「NO MORE CRY」を歌った。
九時五十四分頃、「芸能事務所の力によって作り上げられた不自然なアイドル」と評されるWaTが登場。歌っている途中でマイクが倒れてしまい、再びマイクを立てるまでの間、声を拾えなかったのも用意周到な演出だったに相違ない。確かに話題にはなるだろう。見事だ。
十時四分頃、SMAP五人衆と森光子が「恋のマイアヒ」で一緒に踊った。木村拓哉と森光子の共演。
T.M.Revolution西川貴教は「WHITE BREATH」で倖田來未にも決して負けないエロティクな格好だったが、演奏に関しては前半のTOKIOのときと同じく声楽と器楽との間の音量のバランスの悪さを感じた。
グループ魂阿部サダヲの「ブルガリア」ネタには手に汗握った。
十時二十七分頃、地震があった。
十時三十三分、石川さゆり登場。今年もまた名歌「天城越え」を熱唱した。高音で「あまぎごえ」と歌い上げたあとの怨念と呆然の表情。
で、十一時以降になるとネタもなく退屈になるので時々フジテレビ系(UMKテレビ宮崎)に変えてみるが、場内の来賓席には柔道関係の重鎮や水泳の北島康介の姿が見えるものの、修二と彰がいる気配がない。よく考えれば今そこにいるわけがないのだ。なにしろ十一時四十五分からは東京ドームで歌い踊らなければならないのだから埼玉でPRIDE観戦している暇はないのだ。
白組ワダアキコ出番の前、応援に登場した中居正広が司会みたいになってしまっていた。司会者として場数を踏んでいる中居正広と初心者の山本耕史とを比較するのは公平ではないが、流石に力量の差は歴然としていた。
そして「大トリ」は無論SMAP。「Triangle」を歌ったが、もし演歌勢のあとに敢えて「バンバンバカンス」みたいな馬鹿歌を賑やかに歌ってくれたら紅白らしくなくて面白かったはずなのに…と思った。