新番組・神はサイコロを振らない

今宵からの新ドラマ。
日本テレビ水曜ドラマ「神はサイコロを振らない」。大石英司原作。水橋文美江脚本。櫨山裕子&内山雅博プロデュース。仲西匡&吉川慶音楽。主題歌=Ryohei feat.VERBAL(m-flo)「onelove」。小林聡美ともさかりえ主演。佐藤東弥演出。第一話。通常は夜十時から一時間放送のところ十五分延長。
最後の数分間分を見て、これは予想していた以上に面白いドラマになるのかもしれないと予感した。かつて同い年の親友だった黛ヤス子(小林聡美)と竹林亜紀(ともさかりえ)との間には今や十年の時差と十歳もの年の差がある。黛ヤス子は航空会社の一社員として十年間を堅実に生きてきて現在三十八歳だが、竹林亜紀は十年前から時空を飛び越えてきて今なお二十八歳のときのまま。大人と若者との差があるし、何より「時代」の差もある。二重の意味での時間の差を乗り越えることは容易ではない。二人は今後どのように語り合えばよいのか。非常に興味を惹かれる話だ。そして無論、同じ問題は他の多くの漂流者たちの間にも生じている。ことに浜砂柚子(市川実和子)と中武昇子(明星真由美)との間の隔たりが物悲しい。
生じた事件は非現実的で荒唐無稽だが、それをめぐる人々の反応は現実的であるほかない。そのことを鮮やかに示したのは十年前に空中に消えた東洋航空402便が長崎空港に着陸したときの動きだ。甲斐陽介(尾身としのり)を会長とする「遺族会」は十年前に見失った家族や恋人や親友の安否を早く知りたくて空港側に詰め寄るが、東洋航空運行管理本部の大屋本部長(岸部一徳)は醜聞を避けるため事実関係を確認し終えるまでは乗客と乗務員ともに近くのホテルに隔離するよう命じ、部下の板倉将(升毅)は指示を忠実に実行しようとした。板挟みに遭った現場の黛ヤス子が迅速に対応せざるを得なかったのも現実的だ。上司の命に背いた黛ヤス子が現場から外されたのは当然だが、あとに残された板倉将が「遺族会」の甲斐陽介に責められたのも当然だし、現場を最もよく知る黛ヤス子を出してくれ!と甲斐陽介が要求したのも、またそれに対して板倉将が何も応答できなかったのも当然だ。
出演者の人選も面白い。黛ヤス子の弟、黛菊介は音楽大学を出て無職の三十一歳。演じるのは武田真治。黛ヤス子の十年前の恋人、副操縦士の木内哲也を演じる山本太郎NHK土曜ドラマ氷壁」にも出演中。大活躍だ。402便の乗客の一人、天才ピアニスト少女の後藤瑠璃子を演じるのは「瑠璃の島」「1リットルの涙」の成海璃子。「遺族会」甲斐陽介の弟、甲斐航星は筑波大学四年生で物理学専攻。演じるのは中村友也中村友也は一年前TBS木曜十時ドラマ「H2・君といた日々」で島オサム役を好演していて、実に魅了されたものだ。中村友也の演技にも注目してゆこう。