アンフェア第十話

フジテレビ系ドラマ「アンフェア」秦建日子原作。佐藤嗣麻子脚本。住友紀人音楽。関西テレビ共同テレビ制作。高橋伸之演出。篠原涼子主演。第十話。
蓮見杏奈警視庁捜査一課情報解析係(濱田マリ)の殺人未遂に関して佐藤和夫香川照之)が新たに疑われるに至った中、さらに殺人は連続し、岩崎書房の森川(大高洋夫)や流行作家の久留米隆一郎(井上順)までもが死去。森川と久留米の両名に関しては佐藤は接点を持たないことから雪平夏見捜査一課刑事(篠原涼子)は疑惑を否定しようとしていたが、一連の事件に関係していると考えられる完全会員制の殺人計画サイト「アンフェアなのは誰か?」の管理人が佐藤に他ならないと判明したことで雪平は暴走。佐藤を呼び出し、問い詰め、拳銃を取り出した佐藤に対する「防衛」のため発砲し撃ち倒してしまった。だが、その直前、佐藤が「俺がそんなことをするわけがない」と叫んでいたことを尊重してよいはずだ。たとえ佐藤が当該サイトの管理人その人であるとしても、一連の事件の首謀者であるわけではないだろう。また、最新数件の殺人の犯人でさえないのかもしれない。それどころか、ことによると管理人でさえない可能性もある。物語の全貌は今なお明らかではない。次週の最終回が待たれる。なお、これまでの経緯を顧みるなら、犯人の特定に関して重要な発言をしてきたのが三上薫検視官(加藤雅也)と安藤一之捜査一課刑事(瑛太)であることは、やはり看過し得ないだろう。
小久保祐二捜査一課係長(阿部サダヲ)は上層部の許可を得て山路哲夫捜査一課管理官(寺島進)に対する取調を断行したが、何も出なかった。小久保の云った通り、山路は蓮見の色仕掛けで惨めにも利用されただけだったのだ。他方、小久保は己の権力欲から一気に過激な行動に出たが、無残にも失敗に終わった。官吏の行動としては救いようもなく恥ずかしい。
安藤は、夕暮れ時の誰もいない会議室で一人で落ち込んでいた雪平を慰め、「僕じゃ駄目ですか?」「僕じゃ迷惑ですか?」と云って愛を告白し、抱き締めた。木村拓哉程の色気はなく増田貴久程の愛嬌はなかったが、なかなかの見せ場だったに相違ない。そういえば西島秀俊も岩崎書房の瀬崎の役で出演していたのだった。