ワイドショー講座のナベプロ話

TBS系「ブロードキャスター」の「ワイドショー講座」。かつて「ナベプロ帝国」とも称される一大勢力を築いた大手芸能事務所ナベプロの五十年史を説いた書の刊行の報道に関連し、同書中に語られた興味深い史実の一つとして、一九七〇年代に一時代を築いた伝説の女子アイドル集団キャンディーズのプロデュースをめぐる話題を取り上げていた。一九七三年九月一日デビューの三人組キャンディーズは、当初は「スー」こと田中好子を三人組の中心、所謂「センター」に位置付け、妹のような愛らしさを売りにしていたが、なかなか売れなかったところ、或る日、キャンディーズのコンサートを一般の客席から見ていたプロデューサーの松崎澄夫は観客の視線が最年長の「ラン」こと伊藤蘭に集まっていることに気付いて直ぐに方針転換、一九七五年の「年下の男の子」を機にランをセンターにして「お姉さん」風の年上の女の魅力を前面に出した結果、大いに売れたと云うのだ。さて、アイドル集団におけるそうしたセンターの配置転換というのは当該アイドルの観察者の間では非常に重要な問題なのだろうが、現今この話題で盛り上がるのはジャニーズ位のことではないだろうか。だが、センターの配置転換で成功した例がどの程度あるだろうか。例が少ないとすれば、そのことは集団の結成時に発揮された社長=プロデューサーの判断力の鋭さを証明している。そこに余計な手を加えれば却って集団それ自体の衰退をさえ招きかねないことをも実例により知ることができる。ところで、現在のナベプロ=「ワタナベエンターテインメント」に関しては、売れる前の新人芸能人のマネイジャーには正社員ではなく大学生アルバイトしか付けないという驚愕の噂がある。これがもし本当であるならアイドル集団D-BOYSもそのような待遇である可能性が高い。D-BOYS中村優一は「仮面ライダー響鬼」のオーディションを受ける前、今後の売り出し方についてマネイジャーと話し合い、細川茂樹を目指したいと語り合ったことを明かしていたが、そのマネイジャーが実は中村優一よりも精々二三歳上の大学生だったのかもしれないわけなのだ。そしてマネイジャーが大学生であれば仕事には一々同行し切れないだろうから、中村優一は撮影現場に毎日一人で通っていたことだろう。それで最初一人で緊張して心細くしていたところを細川茂樹栩原楽人に励まされて感激したわけなのだ。ところで、今宵ナベプロの話題を取り上げた「ワイドショー講座」。その司会をつとめるのはもちろん何時も通り山瀬まみ。「ホリプロスカウトキャラバン」出身のホリプロ所属アイドル。往年の「ナベプロ帝国」を崩壊させた勢力の一がホリプロであると考えると味わい深い。