プリマダム第七話

日本テレビ水曜ドラマ「プリマダム」。福間正浩脚本。丸山和範音楽。序曲=プッチーニ作曲「誰も寝てはならぬ」[歌劇「トゥーランドット」]。主題歌=中森明菜「花よ踊れ」。西憲彦&志村彰&森雅弘プロデュース。猪股隆一演出。制作協力The icon。第七話。
倉橋嵐子(中森明菜)が一代で築き上げた名門「倉橋バレエ団」は、嵐子の忠臣だった畠山秀介(内藤剛志)によって完全に乗っ取られた。バレエ団の館内にあった嵐子と遥生(中島裕翔)母子の住居も今や財団の財産に書き換えられた。幸い、遥生は丁度このとき万田高太郎(古田新太)の家に長期滞在中だったので住み慣れた家から追い出される屈辱を味わうことはなかったが、気位高い嵐子は一生かけて蓄積した財産の殆ど全てを失う地獄を見なければならなかった。もちろん嵐子は激怒。そんなことが許されると思っているのか?と。確かに財団法人を乗っ取る勢いで私有財産まで没収するのは尋常ではない。とはいえ全ては合法的に実行されたのだ。実に、とんでもない悪党としか思えない畠山秀介にも何程か同情の余地があり得るとすれば、問題の核心がその点にある。恐らく嵐子は財団の財産を完全に私物化していたのだ。当の財団自体が嵐子の私有財産を基にして設立されたとしても、それを私物化してよいわけではない。それなのに多分、嵐子は財団の財産を私物であるかのように湯水のように使い、挙句、後始末の全てを重臣の畠山に任せていたに相違ない。そして公私混同を極めていながらもその自覚さえも欠いた生活を永年にわたり続けてきた結果、不図気付けば、私有財産など皆無に等しい状態に陥っていたに相違ない。公私の区別が付いていなければ公の全ては私であるが、反面、私の全てが公でもあるのだ。