仮面ライダーカブト第十八話

テレビ朝日系“スーパーヒーロータイム”ドラマ「仮面ライダーカブト」。水嶋ヒロ佐藤祐基主演。第十八話。
ZECT本部によって幽閉された少女ゴン(神崎愛瑠)との束の間の面会を許された風間大介加藤和樹)。「お前は俺にとって一つの…、一つの…」と何時ものように言葉が出てこなくて迷っていた風間に、ゴンは「相棒?」と応え、風間は「そう、そう!それ、それ!」と喜んだ。馴染みの遣り取り。しかし風間=仮面ライダードレイクの救出によって最後にゴンが記憶を取り戻してジャーナリスト順子(中村綾)の一人娘「百合子」に戻ったとき、同時に風間とともに過ごした日々の記憶を全て失い、後日、街で両名が偶々再会したときには、もはや彼の迷いに百合子が応じることはなかった。「何でもありません。失礼しました」と云って立ち去る彼の姿は寂しげだったが、直後、百合子=ゴンが何かを感じ、微かに思い出そうとしたのか、暫く後ろを振り返り彼の姿を確かめようとしていたのは話をさらに味わい深くした。
幸福な母子の歩き去る姿を見詰め、「さよならだ、ゴン」と呟いて文字通り「風のように」去った風間大介。清々しい英雄だった。
ZECT田所軍団は今回また見所が多彩。部下の岬祐月(永田杏奈)と加賀美新佐藤祐基)に責められて弱り果てた挙句、職責を守りながらもギリギリのところで内面の正義感にも従おうとする偉大な「中間管理職」田所修一(山口祥行)。他方、上司を苛めて重要な情報を得た岬と加賀美の両名は、天道総司水嶋ヒロ)を指揮者に仰ぎ、日下部ひより里中唯)をも加え、もちろん風間大介を伴ってゴン救出に走った。幽閉先の、大海に面した白亜の城塞。そこに彼らは料理人に扮して潜入し、兵士たちに美味な料理を食わせて油断させ、解放に成功した。料理に睡眠薬を混入して眠らせるのではなく、むしろ最高の美食に酔わせたのだ。いかにも仮面ライダーカブトに相応しい堂々の戦い方だった。
それに比して余りに見苦しく惨めでもあった影山瞬内山眞人)。権謀術数のみに生きる野心的な青年エリート武官の堕落と没落。その見苦しさは彼の陰謀で失脚させられた矢車想徳山秀典)の物悲しさを遥かに上回る。