ギャルサー第九話

日本テレビ土曜ドラマギャルサー」。藤本有紀脚本。池頼広音楽。主題歌=藤木直人「HEY!FRIENDS」。パラパラ振り付け=前田健。戸田一也&千葉行利(ケイファクトリー)プロデュース。制作協力=ケイファクトリー南雲聖一演出。第九話。
このドラマの基本は、重大に深刻に見えることの真相が思いのほか些細なことでしかないところにある。渋谷ギャルサー「エンゼルハート」六代目総代表レミ(鈴木えみ)の本名は小野妹子、姉の早川晶子(三浦理恵子)の本名は小野小町だった。そして小町=早川晶子がシンノスケ(藤木直人)のイモコ探しを妨害し続けたのは、レミが「イモコ」という名の故に少女時代にイジメられ続けて今や己の名を憎んでさえいることを悲しみ、これ以上レミを傷付けることがないようレミを守るためだった。しかるに、レミはジェロニモ古田新太)の探しているイモコではなかった。彼の持つ手紙には「芋子」と書かれていたわけだが、それが縦書で書かれていた点には注意すべきだろう。
サキ(戸田恵梨香)の許に届いた怪文書。レミの本名がイモコであることを暴露する内容を、新聞や雑誌の活字を切り抜いて貼って作成したもの。誰が出したものだろうか。柳下哲雄(生瀬勝久)の経営する音楽喫茶クリフォードの店内で文具店主の土谷守(高田純次)が見ていた週刊誌の一頁に切り抜かれた部分があった以上、犯人は商店会の一員であるか、少なくとも同店に出入りする人々の一人であると想像される。土谷がこのところギャルサー攻撃を陰湿に仕掛けていることは関連しているだろうか。
劇中で「おのいもこ」と「おののいもこ」の違いが問題になっていた。劇中での違いとは別に一般論で云えば、両者間の違いを説くのは難しくはない。氏と名の間には「の」が入り、姓と名の間には入らないという法則があるのだ。例えば藤原や源や平は氏であるから名の前に「の」が入り、九条や足利や北条は姓であるから「の」は入らない。織田は平氏、徳川は源氏だが、豊臣は豊臣氏だから豊臣秀吉は「とよとみひでよし」ではなく「とよとみのひでよし」。