富豪刑事デラックス第八話

テレビ朝日系(ABC朝日放送制作)ドラマ「富豪刑事デラックス」。筒井康隆原作(新潮文庫)。蒔田光治脚本。辻陽音楽。主題歌=オオゼキタク「トライアングルライフ」。深沢義啓(ABC朝日放送)&桑田潔テレビ朝日)&蒔田光治東宝)&太田雅晴(5年D組)プロデュース。製作=ABC&テレビ朝日東宝。常廣丈太演出。第八話。
昔は華族にしか入会を認めなかったと云われる高級会員制倶楽部「無限倶楽部」。今や旧華族の没落に伴う経営難のため有力な実業家にも莫大な入会金と会費を支払わせて入会を許可しているようだが、一応は入会に際してそれに相応しい「社会的貢献」があるか否かを審査することになっているようだ。特に元公爵家の当主、大崎春堂(石丸謙二郎)は新入会希望者の品位を厳しく問い、その人物の経営する会社に汚職や不祥事の疑いがある場合には入会を拒否すべきであることを強く主張していた。倶楽部の経営状況のことを考えるならそんなキレイ事は通らないのかもしれないが、しかるに彼の主張が間違っているとは思えない。そうであれば倶楽部の真の課題は、無用の贅沢を廃して清貧に甘んじ、放漫な経営を引き締め、生意気なIT長者等の新興勢力と決別してでも、貴族の名誉と責任を再確認する会の主旨、立場、性格を明確にし、追求することではなかったろうか。無限倶楽部の衰退は、史実に譬えれば日本美術協会(現「上野の森美術館」)の衰退に近いのかもしれない。
それにしても、鎌倉警部(山下真司)のあの風邪の症状は一体何だったのだろうか。劇中に特に意味はなかったろうか。